欧州連合(EU)の新たな基本条約「リスボン条約」批准の是非を問うアイルランドの2度目の国民投票が3日に開票され、賛成多数で新条約の批准が可決された。
これにより新条約は2010年初めにも発効する見通しとなった。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
条約発効には原則として全加盟国の批准が必要。
アイルランドのみが同国憲法で批准の際に国民投票の実施を義務づけられており、今回の国民投票は条約発効に向けての最大のハードルだった。
〔英会話表現による言い換え〕
未批准国のポーランドとチェコも投票結果を受けて大統領が文書に署名する運びになっている。
加盟国が15カ国から27カ国に増えたEUにとって機構改革は最優先課題だが、04年に調印された「憲法条約」は翌年にフランスとオランダが国民投票で否決し、事実上の廃案に追い込まれた。
<英語にて解説:EU基本条約の発効時期>
その骨格を引き継ぐリスボン条約は07年に調印され、09年1月の発効を目指していたが、昨年6月のアイルランドの国民投票で否決された。
国民の意識に変化が生じたのは金融危機に伴う経済情勢の激変が大きい。
アイルランドは90年代後半から「ケルトの虎」と呼ばれる経済成長を成し遂げたが、金融危機後、同国経済は失速。
《「アイルランドの急速な経済成長」に関して英語記事》
09年の国内総生産(GDP)は前年比約8%のマイナスになる見込みで、失業率は13%に迫る。
約60年にわたる欧州統合のプロセスは基本的に経済主導で進んできた。
リスボン条約は政治・外交分野での統合の強化を目的とする。
多数決制の採用を大幅に拡大し、政策決定を迅速化するのもそのためだ。
<英会話/ディベート:全会一致から多数決へ>
EU新体制の目玉となるのは大統領の創設だ。
《「EU新体制の枠組み」について英語にて解説》
大統領は最高決定機関であるEU首脳会議の常任議長を務め、テーマの設定や議論の方向付けを通じて、EU政策に大きな影響力を与える。
また、欧州の「代表」としての役割も担い、同時に新設される外交・安全保障上級代表とともに国際社会での発言力を高める。
今後は大統領の人選に焦点が移る。
議長国スウェーデンは29日からの首脳会議で初代のEU大統領などの主要人事を調整する考えだ。
大統領候補には英国のブレア前首相やルクセンブルクのユンケル首相などの名前が挙がっているが、水面下では加盟国の駆け引きが始まっている。
[「大統領の役割を巡る意見対立」を英語論説のテーマとして]
欧州の市場統合の加速も見込まれる。
現行のニース条約は27を超える加盟国の規定がないが、リスボン条約の発効で再び加盟国を拡大できるようになるためだ。
<英会話/ディスカッション:EU内に広がる「拡大疲れ」>
アイスランドやクロアチアなどが2011年にもEUに新規加盟する可能性があるほか、加盟を切望するバルカン諸国やトルコの受け入れを巡る議論も活発化しそうだ。
「市民軽視」との批判を踏まえ、新条約には欧州議会の権限拡大も盛り込まれた。
[「指導者層と欧州市民の間の溝」を英会話のトピックとして]
選挙で選ばれた議員がほとんどの法案や予算、人事の決定手続きなどに関与できるようになる。
100万人の署名があれば欧州委員会にEU法令の策定を求められる規定もつくられた。
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