東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国タイは11日、反政府デモ隊による妨害活動が激化したため、同国中部のパタヤで同日予定していたASEANプラス3(日中韓)首脳会議や12日の東アジアサミットなど一連の会議の中止・延期を発表した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
デモ隊はタクシン元首相を支持する市民団体「反独裁民主同盟」で、11日昼過ぎに数百人が関連会議の主会場内に乱入。
武力を行使しない治安当局が押し切られる形となり、各国首脳らはヘリコプターで避難した。
《「デモに厳しく対応できない事情」について英語記事》
タクシン元首相派のデモ隊が各地で行動を過激化させたため、アピシット首相は12日のテレビ演説で首都バンコクと周辺5県に非常事態を宣言。
<英語にて解説:タイで出された非常事態宣言>
政府は13日未明から約3万7千人の国軍兵士を投入し、デモ隊に催涙ガスなどを発射して強制排除に乗り出した。
弱腰の対応が混乱をもたらしたと国内外の批判が高まり、方針転換に追い込まれた格好だ。
タクシン元首相を巡り支持派と反対派に分断されたタイ国民の亀裂は一段と深まる様相を呈している。
[「タイの政治混乱の構図」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
発端は2006年の9月のクーデターだ。
農民や低・中所得層に人気の同首相が放逐され、国軍が政権を掌握すると、タクシン政権下で冷遇された都市住民や貴族などが支持した。
しかし、07年の総選挙を受けてタクシン派が再び政権の座に就いたため、反タクシン派は08年に反政府運動を再び活発化。
《「タイ政治の主な動き」について英語にて解説》
同年9月に首都バンコクの首相府を、11月にはバンコク国際空港を占拠した。
司法当局も同調しタクシン派に不利な判決を連発、反タクシン派の現政権樹立を後押しした。
空港占拠事件後に政権を追われたタクシン派は今年1月に反政府活動を本格化。
今月8日にはアピシット政権の退陣を求め10万人規模のデモを行った。
両勢力が攻守所を変え政権運営の足を引っ張り合う状況が混乱の長期化を招いている。
〔英会話表現による言い換え〕
今回のデモでタイの政情不安が改めて浮き彫りとなり、低迷する経済にも深刻な影響が出そうだ。
世界経済の急減速で輸出不振に苦しむ同国は今年、マイナス成長が濃厚。
主力産業の1つである観光は、度重なる非常事態で壊滅的な打撃を受けつつある。
[「日本人観光客の激減」を英会話のトピックとして]
混乱が続けば、海外からの直接投資に跳ね返り、弱った経済に追い打ちをかける可能性もある。
ASEANプラス3の一連の会合が延期されたことで、アジア域内の金融協力強化に向けた動きが停滞する懸念が出てきた。
《「域内金融協力の強化」に関して英語論説》
当初は今回の会合で通貨スワップ協定「チェンマイ・イニシアチブ」の詳細を調整し、5月の財務相会議で正式決定に持ち込む思惑だったが、大幅に遅れるのは必至だ。
タイほどではないが、脆弱な政権は東南アジア各国に共通している。
世界的な景気悪化に対応し、域内各国は大型景気刺激策を相次いで打ち出しているが、政治の不安定化で予算案の議会審議が遅れるなど政策執行に悪影響を及ぼす恐れもある。
<英会話/ディスカッション:東南アジアが抱える政治的リスク>
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