イラン内務省は13日、大統領選挙の最終開票結果を発表、保守強硬派のアハマディネジャド大統領が63%を獲得し、予想外の大差で再選を果たした。
敗れた改革派のムサビ元首相は34%にとどまった。
投票率は85%と過去最高だった。
<英語記事:投票率を押し上げた要因>
ムサビ氏陣営は投票終了直後から選挙運営に不正があったと反発。
[「中東諸国での選挙結果改ざん」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
ムサビ氏は13日に発表した声明で「イスラム共和国の支柱を危うくし、専制国家に陥る」と非難した。
首都テヘランでは支持者らが警察と衝突。
不穏な動きを受けて最高指導者ハメネイ師は、結果を受け入れるよう国民に求める声明を出し事態収拾に乗り出した。
15日にもムサビ氏の支持者らは、内務省の許可を得られないまま首都での大規模集会を強行。
《「違法集会の強行」について英会話》
イラン国営放送によると、参加者7人が治安当局との衝突で死亡した。
政権側は治安警察に加えて、民兵組織バシジを投入し抗議行動の押さえ込みを本格化。
<英語にて解説:民兵組織バシジ>
改革派は抗議行動を継続する姿勢を崩さず、保守派も16日にテヘランで大規模集会を開くなど対決姿勢を強めている。
融和を探る動きもある。
ハメネイ師は14日ムサビ氏と会談し、調査を約束。
《「イランの権力構造」に関して英語にて解説》
選挙結果を最終的に承認する権限がある護憲評議会も16日、改革派の異議申し立てを受けて一部投票箱の再集計を実施すると発表した。
ただし、改革派が求めている再選挙は拒否した。
市民生活を圧迫する20%以上のインフレが続くなど現政権の経済政策の失敗は明らかだ。
[「アハマディネジャド政権の経済失政」を英語論説のテーマとして]
だが、大統領は就任以来、潤沢な原油収入を原資に、公務員給与や年金支給額の引き上げなど大衆迎合的な政策を乱発。
ムサビ氏は変化を求める都市部の若年層の強い支持を得たが、アハマディネジャド氏は積極的な「ばらまき」策で有権者の6割超を占めるとされる農村や中小都市の貧しい住民を引き付けた。
イラン国民は対外協調を訴えた改革派ではなく、「強いイラン」を掲げる強硬派の現職を選んだ。
信任を得たアハマディネジャド氏が対米関係などで強硬路線を続けるのは確実だ。
イランに対話を呼びかけたオバマ米政権は同氏の続投もにらんで、対話の糸口をなお模索するとみられる。
<英会話/ディスカッション:イランとの対話への期待>
ただ、対話の実現が遅れれば、イランの核開発を強く警戒するイスラエルとイランとの緊張が高まる恐れもある。
ネタニヤフ首相は中東和平交渉よりもイランの核問題を優先事項に位置付けており、対イラン軍事行動の選択肢を捨てていないとされる。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
ハメネイ師を頂点とするイスラム指導体制は、1979年のイラン革命以来最大の国内批判に直面している。
[「イランの体制危機」を英会話/ディベートのテーマとして]
改革派の抗議行動はイスラム革命体制を否定しているわけではない。
しかし、地方の有力都市イスファハンやシーラーズなどでも抗議デモの発生が伝えられ、反発は広がりを見せ始めている。
指導部の対応次第では、混乱長期化の可能性も否定できない。
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