北朝鮮は5日、長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を発射した。
東北地方上空を通過後、太平洋に落下したが、日本国内への破片などの落下による被害は確認されず、自衛隊も迎撃しなかった。
北朝鮮はロケットによる人工衛星の打ち上げだと主張している。
《「衛星運搬との北朝鮮の主張」について英会話》
2006年7月と10月に採択された国連安全保障理事会決議は北朝鮮に「弾道ミサイル計画に関連するすべての活動の停止」を求めている。
《「06年の安保理決議」に関して英語にて解説》
日米両政府は今回の発射は明白な安保理決議違反だと北朝鮮を非難した。
日本政府は国連安保理に新たな決議案を提出する方針だ。
ただ、新たな制裁措置は盛り込まず、06年の安保理決議の厳格な履行などを想定する。
また、政府は日本独自の制裁措置の検討に入った。
13日に期限が切れる現行制裁措置を1年間延長し、北朝鮮への輸出の全面禁止などを追加する案が有力だ。
<英語記事:対北朝鮮制裁措置の現状>
国連安保理は5日午後から緊急会合を開き、対応を協議する。
日本は安保理決議の採択を目指す考えだが、決議採択の可否を左右するのは拒否権を握る米英仏中ロの常任理事国だ。
米国は決議提出に理解を示すとみられ、英仏も北朝鮮の発射は決議違反と非難している。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
一方、中国とロシアは北朝鮮に強い圧力をかけることに慎重な姿勢を示している。
[「決議採択への温度差」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
北朝鮮が06年にミサイルを連射した際も、日本は制裁を含む決議案を提出したが、中国などの反対に遭い、制裁を削除した決議に後退した経緯がある。
今回の対応でも、中ロが決議よりも拘束力が弱い議長声明などを主張する可能性がある。
テポドン2号は北朝鮮が開発中の3段式長距離弾道ミサイルで、06年には発射に失敗している。
<英語にて解説:北朝鮮の保有する弾道ミサイル>
射程は改良されて4千5百〜8千キロメートルになったと推測される。
専門家の推定では今回の飛距離は3千キロメートル以上と従来より2倍程度に伸びており、技術は確実に向上している。
北朝鮮は「衛星」の搭載を主張したが、人工衛星と弾道ミサイルの発射技術は基本的には同じだ。
太平洋まで飛んだ今回の実績と06年に強行した核実験を合わせれば「核兵器の運搬手段」の開発を進める北朝鮮の脅威が増したのは事実だ。
《「安全保障バランスへの影響」に関して英語論説》
北朝鮮は今後、ミサイル技術の進展による脅威をちらつかせ、米国に直接交渉を迫る狙いがあるとみられる。
大量破壊兵器の拡散も懸念材料だ。
武器輸出は北朝鮮の主要な外貨獲得手段で、08年は中東向けの弾道ミサイル「スカッド」や「ノドン」を中心に1億ドルを稼いだとされる。
<英会話/ディスカッション:北朝鮮によるミサイル拡散疑惑>
今回の発射では中東へのミサイル輸出拡大を狙って技術力を誇示する思惑もあったようだ。
北朝鮮は既に、日本領土の大部分を射程に収めるノドンを2百基以上実戦配備している。
日米は実際の迎撃こそしなかったもののミサイル防衛(MD)システムを初めて本格的に共同運用した。
直接の脅威を受ける日米韓ではMD強化論が浮上する可能性もある。
[「ミサイル防衛を巡る問題点」を英会話/ディベートのテーマとして]
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