2日実施のメキシコ大統領選で、中道右派の野党・国民行動党(PAN)から出馬したビセンテ・フォックス前グアナフアト州知事が、与党・制度的革命党(PRI)候補のフランシスコ・ラバスティダ前内相を破ることが確実となった。
これにより71年にわたるPRIの一党支配体制は幕を閉じ、歴史的な政権交代が実現する。
《「一党支配体制の長期化」について英会話/ディスカッション》
フォックス候補は、汚職腐敗に対する国民の嫌気や通貨危機後の貧富格差の拡大への怒りなどを追い風に、特に都市中流層や中小企業家らの支持を伸ばした。
[「悪名高い汚職腐敗」を英会話のトピックとして]
投票率が都市部を中心に予想を上回ったことも、集票組織が弱く浮動票頼みのPANに有利に働いた。
メキシコは94年のセディジョ現大統領就任直後、通貨ペソが暴落し、翌年の国内総生産成長率がマイナス6.9%に落ち込んだ。
<英語にて解説:94年のメキシコ危機>
その後は北米自由貿易協定(NAFTA)の枠組みの下、米国の好景気にも助けられて輸出産業が復活。
メキシコ中銀は今年、5.5%の高成長を予測している。
その一方で、貧困層対策は遅れた。
消費者物価の急上昇で、99年までの5年間に実質賃金は3割以上低下。
「メキシコの貧困層は10年ごとに倍増、2010年には人口の6割に達する」との指摘もある。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
同国の経済政策は政権が代わっても継承される見通しだ。
フォックス氏は全ラテンアメリカ自由貿易圏構想を打ち出したが、地理的利点を生かして生産と物流のハブを目指す発想は、矢継ぎ早に自由貿易協定を結んできたセディジョ政権と変わらない。
<英語表現の工夫:矢継ぎ早>
メキシコは世界最多の27カ国と自由貿易協定を締結している。
同国が自由貿易の推進に積極的なのは、輸出総額の9割を米国向けに依存するリスクに気づいているためだ。
[「過度の米国依存からの脱却」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
対米輸出は昨年までの5年間で2倍以上の1200億ドルに達した。
米国景気が減速した場合に同国経済が受ける影響は大きい。
フォックス氏は、スペイン植民地時代の古い町並みが残る中部グアナフアト州の農場育ち。
大卒後に入社したコカ・コーラ・メキシコではセールスマンからたたき上げて、わずか10年で社長に昇り詰めた。
88年に連邦下院議員に初当選し、95年には故郷の州知事に就任。
外資誘致などの振興策を相次いで打ち出し、全国的に知名度を高めた。
<英語記事:同氏の大胆な言動とカリスマ性>
PRIは、1910年に始まるメキシコ革命の精神と権力の維持を目的として29年に結成された国民革命党が前身。
《「メキシコ革命」に関して英語にて解説》
一貫して政権を維持してきたが近年は党勢が低迷し、97年7月の選挙では下院で初めて過半数を割った。
PANは同時に行われた議会選でも躍進し、上下両院で第1党となることが確実だ。
しかし、単独過半数には及ばない見通し。
また、メキシコでは82年以降、大統領が代わる度に通貨・経済危機を招いた経緯がある。
政権交代に伴う混乱を回避するため、フォックス氏はPRIなどとの連立も視野に入れて、安定政権を目指す意向だ。
《「新政権の課題である政情不安回避」について英会話》
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