アルゼンチン議会の上院は6日午後、通貨切り下げの前提となる「国家危機・為替制度改革法」を賛成多数で可決、同法が成立した。
<英語記事:金融危機に苦しむアルゼンチン>
これを受けてレメス経済財政相は、二重相場制度を柱とする経済対策の詳細を発表した。
通貨ペソの対ドル相場を1ドル=1ペソとするこれまでの固定為替相場制度を廃止。
貿易取引などに適用する固定の公定相場は1ドル=1.4ペソに切り下げる一方、観光客向け両替など一部に変動相場制を併用する。
切り下げ率は、対象通貨の変化率を示す「国際通貨基金(IMF)方式」によると28.6%となる。
《「為替相場の変化率」に関して英語にて解説》
新法は通貨切り下げが国内の金融不安につながらないようにする措置も盛り込んでいる。
[「通貨切り下げの副作用」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
インフレを抑制するために重要な消費財・サービスに対し価格統制を一時的に実施。
個人や中小企業のドル建て債務を一定限度まで1対1でペソに置き換えることを認めた。
市民から不評を買っている銀行預金の引き出し制限も一部緩和するとしているが、措置自体は90日間継続する。
《「銀行預金の引き出し制限」について英会話》
アルゼンチン政府はデラルア前政権下にあった12月1日から、原則として週当たり250ペソまでに預金の引き出しを制限している。
同国は1991年、通貨の価値を安定させ、年率5000%に達していた超インフレの沈静化を目的として、固定相場制を導入した。
当初の目標であったインフレ抑制は達成したが、90年代後半以降はドル上昇に連動してペソ高が進み、輸出競争力が低下。
通貨価値維持のため通貨供給量を抑えざるを得ず、デフレ圧力をもたらすことになった。
<英会話/ディスカッション:固定相場の弊害>
金融危機のきっかけは約1400億ドル以上に達する公的債務だ。
その削減を目指して前政権が実施した財政緊縮策が国民の反発を招き、政権交代などを経て事実上の債務不履行(デフォルト)状態につながった。
[「債務削減と緊縮財政」を英会話/ディベートのテーマとして]
レメス経済財政相は公的債務について一時支払い停止の方針を改めて確認、債務処理に動き出すのは2月以降になるとの見通しを示した。
公的債務問題の解決には抜本的な財政再建策が欠かせない。
01年の財政赤字は約110億ドルと目標の65億ドルを大幅に超過した。
だが、政局不安のため、懸案の公務員リストラや増税など思い切った政策をとることは不可能で、財政再建は手詰まり状態にある。
<英語表現の工夫:手詰まり>
ドゥアルデ新政権がまとめた新経済政策は、通貨制度の変更とそれに伴う国内金融の混乱回避に重点を置いたものだ。
IMFは通貨政策だけでなく、財政再建や対外債務の今後の扱いも含めた総合的な経済政策の早期策定を促す方針だ。
《「IMFとの融資交渉再開」に関して英語記事》
二重相場制についてIMFは、経済取引にひずみをもたらすとして、否定的な立場をとっている。
アルゼンチン側は過渡的な措置と説明、4、5ヶ月後をめどに完全変動相場制に移行する計画を示した。
早晩、実質的な一段の切り下げを伴う変動相場制への移行は避けられない模様だ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
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