ドイツのシュレーダー首相は15日、政府と電力業界が原子力発電所を全廃することで合意した、と発表した。
《「原発の廃止」について英会話》
国内で稼動している原発の平均運転期間を32年とし、運転期間を終えた発電所から順次廃止していく。
ドイツは電力供給の約3割を原子力に依存、現在は19基の原発が稼働している。
原子力による発電量は年間約1600億キロワット時で、米国、フランス、日本に次ぐ規模だ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
シュレーダー政権は98年に社会民主党(SPD)と環境保護政党「連合90・緑の党」が連立して誕生した。
<英語記事:SPDと緑の党による「赤緑連合」>
政権は発足後間もなく原発を段階的に廃棄する方針を発表、電力会社側との交渉が昨年初めから開始された。
だが、閉鎖までの期間を巡って最低35年を主張する電力側、30年を提案するSPD、当初は即時廃棄を求めた緑の党の足並みはそろわなかった。
今年3月に緑の党がSPD案を受け入れたことが、電力側との合意につながった。
政権与党が主導した今回の全廃方針に対して産業界には不満がくすぶっている。
最大野党で保守系のキリスト教民主同盟(CDU)も「原発停止は誤った政策」と批判しており、2002年の総選挙の結果次第では「原発廃止」が白紙に戻る可能性もある。
[「原発廃止の不確実性」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
欧州では原子力発電に厳しい政策をとる中道左派政権が多いことや、環境団体などの影響力が強いこともあって、原発は基本的に縮小の方向に向かっている。
《「欧州の原子力行政」に関して英語にて解説》
スウェーデンなどはすでに原発を停止し始めているが、欧州最大の経済大国ドイツの決定は他国の原子力行政にも影響を与えそうだ。
原発停止に伴い大きな課題となるのは代替エネルギーの確保だ。
独政府と産業界は水力や風力など自然エネルギーを利用した発電の促進や代替エネルギーの開発に力を入れているが、穴埋めは容易ではなく、火力発電や周辺国からの買電を拡大せざるを得ないという見方が多い。
<英語論文:EU内での電力相互供給体制>
だが、石炭火力などの増加は、2010年を目標に温暖化ガス排出量を90年比で約2割削減するという独政府の国際公約達成を難しくする可能性もある。
《「温暖化対策とエネルギー政策」に関して英会話/ディベート》
また、電力会社が原子力での発電を含む国外からの買電を増やす姿勢を見せていることに対して、反原発グループは早くも「原子力輸入」につながると批判している。
日本は原発全廃に踏み込む環境にないものの、昨年9月の東海村臨界事故などで原発への世論の逆風は強まっている。
<英語論説:独原発全廃の日本への影響>
通産省は今年4月、エネルギー政策の全面見直しに着手、3月に下方修正されたばかりの10年までの原発新設数目標をさらに減らすことも視野に検討する。
同省や政府与党は代替エネルギーとして二酸化炭素排出量が石油より少ない天然ガスを一段と重視する考えだ。
[「天然ガスの重視」を英会話のトピックとして]
輸送コストが割安なパイプラインを整備するため石油公団の資金を使った支援措置といったアイディアも浮上している。
|