奄美大島沖の東シナ海で22日、海上保安庁の巡視船が国籍不明の不審船を追跡、銃撃されて応戦し不審船が沈没した。
《「不審船の沈没原因」に関して英語記事》
銃撃戦で海保の航海長ら2人が負傷。
不審船の乗組員約15人は海上に投げ出されたまま、行方不明になった。
21日、自衛隊の哨戒機が奄美大島近海で不審船を発見、海上保安庁に通報した。
<英語にて解説:不審船追尾、射撃の経緯>
海保は22日午前、派遣した巡視船が不審船を確認、午後、繰り返し威嚇射撃を実施したが、船は西に逃走。
このため、午後4時過ぎに巡視船は船体への射撃に踏み切った。
ほぼ全弾が命中し不審船は出火、一時停船したが、鎮火後に再び航行を開始。
午後10時過ぎ、巡視船が不審船に強制接舷しようとしたところ、不審船の乗組員2人が自動小銃か機銃で発砲。
これに巡視船が機関砲で応戦、不審船は沈没した。
不審船の国籍については、23日未明の段階でなお不明だ。
ただ、政府内では、不審船の行動パターンや船体の形状などが北朝鮮のものとみられる過去の不審船に酷似していることなどから、北朝鮮の工作船説が強まっている。
[「北朝鮮船説の根拠」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
海保による船体射撃は1953年に旧ソ連のスパイ容疑船を対象にしたケースがあるが、国籍不明の不審船に対しては初めてのことだ。
99年の北朝鮮の工作船による領海侵犯事件以来、政府が射撃要件の大幅な緩和など不審船やゲリラ特殊部隊による攻撃への対処能力を強化してきたことが背景にある。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
99年の事件では、能登半島沖で領海侵犯した北朝鮮の工作船が逃走した際、初めて海上警備行動が発令され、海上自衛隊の護衛艦が警告射撃に踏み切ったが、停船させられず、取り逃がした。
《「海上警備行動」について英語にて解説》
政府はこの事件の反省から、その後、不審船対策を強化した。
<英語記事:不審船対策の主な取り組み>
今年10月には海上保安庁法を改正し、領海内で不審船が停止命令を無視して逃走する場合は、船体射撃によって相手の船員に危害を加えても免責されるようにした。
ただ、今回は現場が公海上の排他的経済水域で領海外だったため、同条項を適用できなかった。
今回の船体射撃は海保法20条第1項に基づくものだ。
同条項に基づく場合、正当防衛や緊急避難の場合を除いて、相手の船員に危害を与えるような射撃はできない。
海保の巡視船は今回、船員に危害を与える懸念の少ない船尾部を狙って船体射撃を行った。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
威嚇のための船体射撃や不審船の沈没に至る直前の発砲は、海保庁にとって従来では考えられなかった強硬措置との見方も出ている。
<英会話/ディベート:領海外での船体射撃の正当性>
9月の米同時テロ以降はテロとの対決が国際政治の潮流になっていることを踏まえ、政府として「断固たる対応」を内外に示した形だ。
ただ、政府が目指していた不審船の捕捉は今回も失敗に終わった。
[「不審船の捕捉失敗」を英会話のトピックとして]
銃撃戦の末沈没させたことで「過剰対応」との批判を受ける可能性もあり、政府の不審船対策はなお試行錯誤の段階といえそうだ。
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