マドリードで開かれたイラク復興支援国会議は24日、信託基金の設立などを盛り込んだ議長総括を発表して閉幕した。
[「イラク復興支援の今後」を英語論説のテーマとして]
復興に必要な資金として2007年までに総額330億ドルの拠出を表明したが、世界銀行と国連が見積もった550億ドルには達しなかった。
信託基金は各国の拠出金を世界銀行と国連が共同管理する。
ただ、最大の資金援助国である米国は管理の主導権を握れない同基金に参加しない意向を示している。
復興需要550億ドルのうち、どの程度を基金で賄えるのかは現時点では不透明だ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
イラクの原油収入は現在、5月に設立した「イラク開発基金」を通じて米英両国が事実上管理している。
今回設置する欧州の拠出を中心とした信託基金と、原油収入を握る米国中心の開発基金が並立することになれば、貢献が目に見えやすい分野への援助を競う可能性もあるため、効率的な資金配分などに支障が生じることも考えられる。
<英会話/ディスカッション:基金の並列>
支援の資金源は、米国、日本、世銀、国際通貨基金(IMF)に極端に偏った。
米国が203億ドル、日本が50億ドル、2カ国だけで330億ドルの77%。
世銀は最低30億ドル、IMFは同25億ドルの融資を計画。
2カ国・2機関の支援額は300億ドルを超え、総額の93%を占める。
《「支援の偏り」について英会話》
無償資金援助も日米の2国が突出した。
日本は04年分として15億ドルの無償援助を確約。
《「日本の無償資金の規模」に関して英語にて解説》
米国は会議で203億ドルの全額を無償で供与する方針を表明した。
ただ、議会が修正を求めているため、表明通りに実現できるかどうかは流動的だ。
イラクはすでに、官民合わせて1250億ドルという巨額の債務を背負っている。
有償資金を新たに受け入れれば債務はますます膨らむ。
会議で米国は無償援助を各国に期待したが、無償資金の拠出が不調に終わり、今後は、イラクの対外債務の削減を巡る議論が焦点となる。
<英語記事:低調に終わった無償援助>
政府は05年以降の35億ドルについては円借款方式を中心とする考えだが、債務を削減すれば円借款は実施できなくなる。
イラクの債務軽減策を巡っては米国が「債務の削減」を主張しているが、日本は「返済の繰り延べ」には応じても、債務削減には反対の立場だ。
[「イラクの対外債務軽減策」を英会話/ディベートのテーマとして]
欧州の拠出姿勢は2つに分かれた。
イラク戦争を支持した英国、イタリア、スペインは多年度に及ぶ拠出に応じる一方、戦争反対派の独仏は個別拠出を当面見送った。
《「米と独仏の溝」に関して英語論説》
これとは別に欧州連合(EU)は共通予算からの拠出をまとめたが、04年分までに限り、追加の資金援助は「イラクの統治・治安状況次第」と説明した。
独仏などが資金拠出に慎重だった背景には、イラクへの主権移譲の遅れもある。
<英会話/ディスカッション:主権移譲の不透明さ>
米主導で選ばれた統治評議会や暫定内閣に対してアラブ諸国の一部に正当性を疑問視する向きもあり、選挙の早期実現を望む声も強い。
だが、前提となる新憲法制定の手続きなどで議論が難航している。
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