9日午後3時20分ごろ、福井県美浜町の関西電力美浜原子力発電所3号機のタービン建屋内で蒸気漏れが発生し、高温の蒸気を浴びた作業員4人が死亡、重体2人を含む7人が負傷した。
<英語記事:過去に美浜原発で起きた事故>
日本の原発で運転中に起きた事故としては過去最悪となった。
今回の事故では、タービン建屋の2階天井部分を走る二次系冷却水系統の配管が破断し、蒸気が噴き出した。
配管は厚さ10ミリの炭素鋼でできていたが、事故後に破断部分を測定したところ、厚さが最少で1.4ミリまで薄くなっていたという。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
高温高圧の水流によって配管の肉厚が薄くなる「減肉」の可能性が高いとみられる。
破断した配管部分は1976年の運転開始以降27年間以上、1度も交換されたことがなかった。
《「破損個所の27年に及ぶ放置」について英会話》
原子力安全・保安院によると、原子力等規制法が求める定期検査の対象外になっている。
比較的摩耗が少なく安全とみられていたためだ。
しかし、この配管は内側では水の流量を測定するため途中で細く絞られている部分があり、その近くの太い部分で破断が起きた。
細くなっている部分で水流の乱れが生じ、その影響で摩耗が激しくなっていた可能性が指摘されている。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
美浜3号機は加圧水型軽水炉と呼ばれるタイプのもの。
放射性物質を含む一次系冷却水と、含まない二次系冷却水が分かれて循環している。
事故が起きたタービン建屋は放射性物質が漏れる危険の少ない比較的安全とされる場所だ。
それだけに、原子炉本体に比べ点検や設計などに甘さがあり、安全面での死角になっていた可能性がある。
<英会話/ディスカッション:放射能を帯びない二次系の軽視>
同タイプの原子炉は国内に美浜3号機を含めて23基ある。
配管に穴が開いた原因が、設計ミスや材料の欠陥など加圧水型に共通する構造的なものなのか、同原発固有の要因によるものなのかが当面の焦点になる。
原因次第では同型炉の運転停止・総点検などが必要となる。
[「同型原発の総点検の必要性」を英会話/ディベートのテーマとして]
今回の事故は猛暑が続く夏場の電力供給にも影響が及ぼしそうだ。
美浜、高浜、大飯の3原発に11基のプラントを抱える関電は、総発電量に占める原発依存が約60%と全国で最も高い。
《「各電力会社の原発依存度」に関して英語にて解説》
関電は常時10%程度の供給余力があるというが、点検のため原発停止が広がれば、夏場のピークの電力供給はひっ迫する。
10日には関電の安全管理の甘さが明るみになった。
昨年11月に下請け会社から、今回破断した配管部分が検査登録リストから漏れているとの指摘を受けながら、関電側は「緊急性はない」と考えすぐに対処せず、今月14日からの定期検査まで先送りしていた。
[「関電の対応の遅れ」を英会話のトピックとして]
経済産業省は電力需要の伸び鈍化や建設予定地周辺住民の不安感の高まりなどを背景に、10年までの原発の新設の見込みを従来の10〜13基から4基に下方修正したばかりだった。
今回の事故で原子力への信頼回復が遠のき、新設に向けた作業は一層困難になった。
<英語論説:原子力政策への影響>
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