欧州連合(EU)は25カ国に拡大して初めての首脳会議で18日、「大欧州」の基本法となる「EU憲法」を全会一致で採択した。
《「EUの東方拡大」について英会話》
今後は憲法を土台に統合の深化を進め、米国に匹敵する政治・経済圏の構築に取り組むことになる。
憲法の議論を始めた2002年2月以降、大国の独仏と中小国が激しい綱引きを展開。
〔英会話表現による言い換え〕
昨年12月の首脳会議では、意思決定方式の変更により発言力が低下するスペイン、ポーランドと独仏が衝突、交渉は決裂した。
さらに、今月実施した欧州議会選挙では平均投票率が45.5%と過去最低となり、欧州統合に対する無関心や懐疑論が表面化。
[「欧州議会選挙の低迷」を英語記事のトピックとして]
危機感や悲観論が強まる中、大国側が譲歩し最終合意にこぎつけた。
憲法制定には巨大化する機構の見直しという目的があった。
盛り込まれた改革の中でまず目を引くのが「EU大統領」ポストの創設だ。
首脳会議で選出し、任期は2年半。
首脳会議の常任議長を務めるほか、EUの対外的な顔となる。
<英語にて解説:EU大統領の権限>
現行の半年ごとの輪番議長国制度の代替という面もある。
具体的な外交・安全保障政策の立案や関係国との調整を担当する「EU外相」も導入する。
EUの政策共通化を促すため、閣僚理事会の意思決定の際、全会一致でなく多数決で決める分野を外交、経済・金融、司法にも拡大する。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
また、機構のスリム化のため、欧州委員会の委員数を早ければ14年に加盟国数の3分の2に削減する。
交渉で最大の争点となったのは閣僚理事会での意思決定方式だった。
独仏などは当初、決定に必要な条件として「賛成国の数が加盟国の50%、賛成国の人口がEU総人口の60%以上」を主張していた。
今回の合意ではその比率を「加盟国の55%、EU総人口の65%以上」に引き上げるなど、中小国側に配慮する内容となった。
<英会話/ディベート:意思決定の効率化と民主的な運営>
憲法制定のもう1つの目的は欧州統合の将来像を描くことだったが、これについては明確な方向性を示すに至らなかった。
統合推進派と慎重派の対立が最後まで続いたためだ。
欧州統合を主導してきた独仏は、経済・通貨統合に続き政治統合を進め「強い欧州」の建設を目指す。
一方、英国や北欧諸国には伝統的に政治統合への警戒感が強い。
[「EUの政治統合への課題」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
頑強に主権を守ろうとする英国は、今回の首脳会議でも外交や防衛分野で政策への拒否権にこだわった。
独仏と英はEUの運営や人事などを巡っても水面下で主導権争いを続けている。
プロディ欧州委員長の後任人事が両陣営の支持する候補の一騎打ちで痛み分けとなって先送りされた。
<英語表現の工夫:一騎打ちで痛み分け>
1994年6月の首脳会議でも英国は独仏が推す候補を拒否している。
今後の焦点は各国の批准手続きに移る。
EUに批判的な声が根強い英国などは憲法を国民投票にかける方針を表明している。
統合慎重派の国で憲法批准が否決されれば、09年までの発効の目標がずれ込む可能性もある。
《「EU憲法批准の行方」に関して英語論説》
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