26日に実施されたウクライナ大統領選のやり直し決選投票は、開票率99%時点で野党候補のユーシェンコ元首相が52%を獲得、ヤヌコビッチ首相の44%を大きく引き離して当選を確実にした。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
現職のクチマ大統領が就任して以来10年ぶりにウクライナで政権交代が実現する。
選挙法改正や欧米の大型選挙監視団の活動などで不正が最小限に抑えられた結果、ユーシェンコ氏の得票率は前回よりも10ポイント近く上昇。
[「国際社会の後押し」を英語論説のテーマとして]
欧州安保協力機構(OSCE)が派遣した選挙監視団は今回の選挙について「公正に行われた」と評価した。
10年に及ぶクチマ政権下では汚職が横行。
後継者ヤヌコビッチ首相の大統領就任を強行しようとした政権に国民の怒りが爆発した。
前回の決選投票後、オレンジ色の旗を掲げたユーシェンコ氏の支持者が首都キエフの独立広場に集結、昼夜を通じた抗議デモを繰り広げ、やり直し投票を実現させた。
<英会話/ディスカッション:「オレンジ革命」と呼ばれた大衆運動>
ウクライナ南部出身のビクトル・ユーシェンコ氏(50)は大学で経済学を学んだ後、金融機関で活躍、同国独立後の93年に中央銀行総裁に抜擢され実績を上げた。
《「中央銀行総裁時代の実績」について英語記事》
99年、クチマ大統領に指名され首相に就任、経済改革と汚職追放に乗り出したが、既得権益を持つ東部の財閥の反発を買い、01年に辞任。
02年に野党連合「我らのウクライナ」を結成、同年の議会選挙で同党を最大勢力に押し上げた。
ユーシェンコ氏は欧米にもロシアにも依存しない姿勢を示しているが、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)への加盟には意欲を見せる。
[「親欧米政権の誕生」を英会話のトピックとして]
次期大統領の誕生でウクライナが親欧米路線を強めるのは間違いないが、国内には対立の火種がくすぶる。
第二次大戦時にソ連に編入されるまで、ポーランドかオーストリア帝国の領土に属していた西部地域にとってEU加盟は民族の悲願だ。
《「ウクライナの宗教分布」に関して英語にて解説》
農地や森林が多く、東部に比べて産業が大きく立ち遅れているため、EUからの経済支援への期待もある。
一方、親ロシアの東部には、国家経済を支える基幹産業の大部分が集積している。
保護政策が必要な成長中の国内産業があるため、EU加盟には是々非々の立場だ。
<英語表現の工夫:是々非々>
EU自身も難しい判断を迫られることになる。
ウクライナの1人当たり国民総所得(02年)は770ドルと極めて低い。
文化的にも歴史的にもロシアとのつながりが深い同国をロシアの反発覚悟でEUが受け入れるかどうかも疑問だ。
[「ウクライナのEU加盟の可能性」を英会話/ディベートのテーマとして]
プーチン政権が露骨に肩入れしてきたヤヌコビッチ氏の敗北は、ロシアの独立国家共同体(CIS)諸国への求心力の低下も意味する。
<英会話/ディスカッション:プーチン政権の求心力低下>
グルジアでも昨秋、市民の抗議行動が高まりシェワルナゼ大統領が失脚、親欧米派のサーカシビリ氏が今年1月の選挙で圧勝した。
プーチン政権は、市民行動によってCIS諸国の政権が次々と倒され、同地域に欧米の影響力が高まる事態を警戒している。
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