オーストラリアの総選挙は24日投開票が実施され、野党・労働党が下院(定数150)の過半数を制し、ジョン・ハワード首相率いる保守連合(自由党、国民党など)から11年ぶりに政権を奪回することが確実になった。
《「オーストラリアの歴代政権」について英語にて解説》
25日午前3時、開票率75%の段階で、労働党が改選前を12議席上回る72議席を獲得、改選前に87議席だった保守連合は47議席にとどまっている。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
豪ABC放送によると、労働党の最終獲得議席数は86議席、保守連合は62議席となる見通し。
ハワード首相は財政黒字化を達成した経済運営手腕をアピールする選挙戦を展開、大型減税と巨額の財政支出を発表した。
しかし、労働党も同規模の減税策などを公約に掲げて、現政権と経済政策で差がないことを印象付け、保守層の不安を取り除いた。
<英会話:「ミー・トゥー」戦術>
経済は好調ながらハワード陣営が敗れた背景には、豪州歴代2位の11年8カ月にわたる長期政権に対する有権者の飽きがある。
[「長期政権のマンネリ感」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
労働党陣営はラッド党首の清新さを訴え、経営者寄りとされる労働政策の転換やインターネットの普及など公教育改革を掲げ、幅広い支持を集めた。
次期首相に就任するケビン・ラッド氏はオーストラリア国立大学で中国史と中国を専攻、卒業後、外務貿易相に入省した。
在北京の豪州大使館で1等書記官も務めた。
《「中国語が話せる首脳」について英会話》
88年に労働党スタッフに転身し、98年に下院議員に初当選した。
01年の再選後、「影の内閣」外相に就任。
昨年12月にビーズリー前党首に大差をつけて党首に選ばれた。
ラッド氏は選挙期間中、政権獲得後の最優先課題として京都議定書の批准を挙げていた。
<英語論説:気候変動が争点として浮上した背景>
議定書の批准に方針転換することで、議定書から離脱した米国や温暖化ガスの削減義務を負っていない中国に「ポスト京都」の枠組みへの参加を促す狙いとみられる。
12月3日からインドネシア・バリ島で開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議への出席も表明している。
また、ラッド氏は選挙戦で「イラク侵攻は誤りであり、アフガニスタンを重視すべきだ」と訴え、イラク駐留豪軍の段階的な撤退を公約に掲げた。
24日夜の勝利演説では、対米重視路線の継承を強調したが、ハワード政権時代と比べブッシュ政権と距離を置くことになるかもしれない。
[「ハワード首相の米国追従」を英語記事のトピックとして]
ハワード首相の退場で、03年のイラク戦争で「有志連合」として米国を支持した主要国首脳すべてが退くことになった。
〔英会話表現による言い換え〕
政権交代したばかりのポーランドでも、トゥスク新首相がイラクに派遣している部隊の完全撤退を表明した。
ラッド次期政権は中国への接近姿勢を強めるとの見方が強い。
《「中国重視への転換」に関して英会話/ディスカッション》
資源大国である豪州にとって中国は07年度に日本を抜き最大の貿易相手国となる。
日本を「地域で最重要なパートナー」として関係強化を進めたハワード政権に比べ、ラッド政権下では、相対的に日本の地位が軽くなる懸念もある。
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