中国の新疆ウイグル自治区カシュガルで4日朝、国境警備を担当する武装警察の施設にトラックが突入、乗っていた2人が手りゅう弾2発を投げ込んだ。
この襲撃で警察官16人が死亡し、16人が負傷。
犯人2人は間もなく逮捕された。
《「中国で起きた最近の事件」について英語記事》
新疆ウイグル自治区は中国北西部に位置し、1955年に成立した。
中国は総人口の9割以上を漢族が占めるが、同自治区は少数民族が人口約2千万人の約6割を占め、トルコ系イスラム教徒のウイグル族が多い。
事件が起きたカシュガルは住民の9割がウイグル族とされる。
<英語にて解説:カシュガルの地域性>
ウイグル族は33年と44年に独立を宣言し「東トルキスタン共和国」政権を樹立したが、49年以降は中国政府によって統治されている。
90年代、ソ連崩壊でイスラム系の中央アジア諸国が独立したのに刺激されて独立運動が活発化、中国当局は締め付けを強化した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
ウイグル独立派は90年代以降、260余りのテロ事件を起こしたとされる。
テロを生む温床として、同自治区に流入する漢族への不満や中国語教育の推進など同化政策への反発がある。
《「中国の少数民族政策」に関して英会話/ディスカッション》
中国当局は近年、独立派組織「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)がテロ活動に関与しているとして警戒を強めている。
雲南省昆明では7月21日に連続バス爆破事件が起き、2人が死亡した。
この事件では「トルキスタン・イスラム党」(TIP)と名乗る組織が犯行声明を発表したが、当局は「信憑性がない」と強調し、北京五輪を標的にしたテロへの不安払拭に躍起になった。
[「五輪を狙ったテロ」を英会話のトピックとして]
北京五輪開幕を目前に控え、中国政府は厳戒態勢を敷いてきた。
首都には全国から120万人の警察官が動員され、監視カメラ28万台が設置された。
五輪競技の開催地は厳重な警備が行われているが、開催地以外の警備が手薄になっているとの指摘もある。
<英会話/ディスカッション:開催地以外の警備の薄さ>
五輪成功を至上命題とする中国政府は、3月に騒乱が起きたチベットと並んで新疆ウイグルを「最重要警戒地域」に指定。
[「3月のチベット騒乱」を英語記事のトピックとして]
中国軍も五輪の安全上の脅威として「第1に東トルキスタンのテロ勢力」と指摘していた。
それだけに今回の事件は公安当局に大きな衝撃を与えた。
地元警察は4日夜までに、逮捕した容疑者2人をウイグル族の男と特定。
5日には公安当局が事件をウイグル独立派によるテロ攻撃と断定した。
犯行に使われた爆発物などは、地元当局が昨年1月にETIMの訓練キャンプを摘発した際に押収した装置と類似。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
現場からは「聖戦」を呼びかける宣伝ビラも押収した。
新華社通信は、地元警察がETIMによるテロ攻撃の情報を事前に得ていたと報じている。
事前情報が生かされなかった格好だ。
安全対策でのこれ以上の失策は胡錦濤政権の求心力の低下を招きかねない。
《「胡錦濤政権への打撃」について英会話》
公安当局は中国全土でウイグル独立派の情報収集を強化するとともに、開催地の警戒レベルをさらに高める方針だ。
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