欧州単一通貨、ユーロ導入の可否を問うデンマークの国民投票が28日実施され、即日開票の結果、反対票が過半数を制し、ユーロ参加を拒否した。
《「ユーロ未参加のEU加盟国」について英語にて解説》
投票結果は反対53.1%、賛成46.9%で、事前の予想を超える大差となった。
99年1月のユーロ発足以来、初のユーロを巡る国民投票に国民の関心も高く、投票率は87.5%に達した。
政府や産業界などが国民にユーロ参加への支持を呼びかける一方、一部の少数政党が反対を掲げた。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
今回の否決の背景に現在のユーロ安があったとの見方が強い。
<英語記事:ユーロ相場の推移>
9月に入っての急激なユーロの下落で「ユーロは失敗プロジェクト」とする世論が高まり、反対派が伸長した。
欧州中央銀行(ECB)が先週末に介入し、相場が持ち直した後には賛成派が盛り返したが、国民投票での逆転には至らなかった。
欧州から米国への投資マネーの太い流れを背景に、外為市場のユーロ売り圧力は根強い。
〔英会話表現による言い換え〕
先の7カ国蔵相・中央銀行総裁会議は、ユーロ相場の安定を目指すことで合意した。
通貨としてのユーロへの「不信任」は、一段のユーロ安をもたらす可能性もある。
デンマークは自国通貨クローネを一定の範囲内でユーロに連動させる「ペッグ制」をとっている。
したがって、通貨統合は利益をもたらしこそすれ、自国経済に悪影響を及ぼすものではない。
賛成派はユーロ導入の経済的利益を説くことに精力を費やした。
[「ユーロ参加の経済利益」を英会話のトピックとして]
しかし、結果を左右したのは、ユーロを導入する経済的利益より、「大国主導」の欧州連合(EU)統合に対する強い警戒感だった。
すでに単一市場を実現させたEU15カ国は、外交や防衛など主権に深く関わる分野でも協力を深めている。
だが、各国の国民負担に直結する、財政、税制といった分野に統合論議が踏み込み始めたことで、統合をこれ以上深めることに慎重論が強まっている。
《「EUの政策統合」に関して英会話/ディスカッション》
今回、デンマーク国民は、ユーロ導入を契機にEUに財政主権を奪われ、自国の豊かな福祉政策までもが政策統合のために見直されて質が低下しかねないとの不安におののいた。
<英語論文:EUで最高水準の福祉制度>
反対派は「ユーロを導入すると年金制度が崩壊する」と主張、政府側は懸命に否定した。
EU加盟の後発組である北欧各国や英国は、EUの原加盟国で主導権を握っている独仏伊などとは一定の距離を保っている。
デンマークは92年の国民投票でも、通貨統合への道筋を定めたマーストリヒト条約の批准を否決した。
《「デンマークショック」について英会話》
今回も改めて、独仏などが中心になって進める統合プロセスに拒絶反応を示した。
今回の否決が、デンマークと同様に不参加国である英国とスウェーデンのユーロ参加に強い逆風となるのはまちがいない。
<英語表現の工夫:逆風となる>
両国とも早期に国民投票に踏み切る可能性が遠のいた。
英国では参加反対を主張する野党保守党が攻勢を強めるとみられ、ブレア政権は苦しい立場に追い込まれそうだ。
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