三重県の北川正恭知事は22日午前の定例県議会で、中部電力が同県内に建設を計画していた芦浜原子力発電所について「計画推進は現状では困難。白紙に戻すべきだ」との見解を表明し、計画の白紙撤回を中電に求めた。
<英語表現の工夫:白紙撤回>
中電は三重県南部の熊野灘に面した南島、紀勢両町にまたがる芦浜地区に原子炉2基を設置する計画だった。
中電の発電電力量に占める原子力の比率は23%(98年度)で、全国の電力会社平均の36%を大きく下回る。
このため、浜岡原発しか持たない中電にとって芦浜原発の実現は長年の悲願だった。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
計画を巡っては64年、紀勢町議会が推進の姿勢を表明したが、南島町議会が反対を決議。
その後、36年以上にわたる推進、反対両派の対立が続き、地元住民の間に大きなしこりを残した。
《「長年の住民対立」について英会話》
北川知事の仲介による立地活動の「冷却期間」が昨年末で終了し、知事の判断が注目されていた。
知事見解は、国内で初の犠牲者が出た昨年9月の茨城県東海村での臨界事故にも言及し、国民の原子力に対する不信感がこれまでになく高まっていると指摘。
<英語記事:東海村臨界事故>
今回の表明の背景に、安全性に対する県民の不安があったのはまちがいない。
中電の太田宏次社長は同日の記者会見で、北川知事の白紙撤回要請を受け、計画を断念する意向を表明した。
長期的な電力需給の安定のために国が特に重要と位置付ける「要対策重要電源」に指定された原発計画の撤回は、94年の中国電力の豊北原発以来のことで、地元知事の要請を受けての断念は初めである。
《「地元の撤回要請を受けての断念」に関して英会話/ディスカッション》
太田社長は原発の推進方針に変更はないことを強調。
また、「知事は芦浜に限って総合的に判断されたと思う」と述べ、北川知事の判断には地域固有の事情が色濃く反映されており、他の原発計画とは状況が異なるとの見方を示した。
しかし、今回の決定が各地の原発立地計画に与える影響は小さくない。
[「芦浜原発断念の波紋」を英会話のトピックとして]
政府と電力業界は2010年を目標に原発20基を新増設する計画を進めているが、臨界事故の影響で、計画には停滞感が強まっている。
〔英会話表現による言い換え〕
建設中また建設準備中の原発は5基にとどまる。
今回の芦浜原発を巡る動きで、増設計画の目標達成はますます厳しさを増しそうだ。
中電が芦浜原発計画を断念した背景には、電力需要の伸び悩みもある。
《「電力需要の鈍化」について英語にて解説》
中電は99年度の電力需給計画で、97年度から08年度までの平均で年2.0%の伸びを予想しているが、実際の電力需要の伸び率はこの数字に届いていない。
今後、どれだけの需要が見込めるのかも不透明だ。
さらに、今年3月からの大口電力の小売り自由化で新規参入事業者が増え、業界は競争時代に突入する。
電力会社も金と時間のかかる原発建設に一時のような意欲を見せていない。
経営の効率化を求められている電力業界にとって、今回の決定は、硬直的な原発立地計画を見直すきっかけになるだろう。
<英会話/ディベート:経営効率の優先>
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