イスラエルの首相公選は6日投票が行われ、即日開票の結果、最大野党、右派リクードのシャロン党首が現職の与党労働党のバラク首相に圧勝した。
《「中東和平を左右するイスラエル首相選」に関して英会話/ディスカッション》
開票率が99.9%時点での得票率はシャロン氏が62.5%、バラク氏が37.4%と大差がついた。
今回の選挙はネタニヤフ前首相やペレス元首相が出馬を見送り、アラブ系住民らの多くが投票を棄権したことから、投票率は58.7%で、過去最低となった。
<英語論説:投票率の低さの背景>
99年5月の公選で和平推進を公約して当選したバラク氏は、思い切った譲歩を提案して合意を迫ったが、パレスチナ側は拒否。
さらに、昨秋以来続くパレスチナ住民との衝突を収拾できず、国民の間には衝突が続く中で首相が和平交渉を継続したことに不満が強かった。
《「譲歩路線に対する嫌気」について英会話》
ロシア移民の家庭に生まれたアリエル・シャロン氏は74年に政界入りし、82年に国防相としてレバノン侵攻を指揮したが、友軍だったキリスト教民兵組織によるパレスチナ難民大量虐殺の責任を問われ辞任した。
その後も右派の重鎮として影響力を維持し、99年5月の首相公選でネタニヤフ氏が落選したのを受けてリクードの党首に就任。
今回、バラク首相の支持率低下を追い風に首相の座を射止めた。
〔英会話表現による言い換え〕
シャロン次期政権の基盤は不安定だ。
与党リクードは一院制の国会(定数120)でわずか19議席しかない。
シャロン氏は当選後、安定政権の樹立に向け労働党に大連立内閣への参加を呼びかけたが、中東和平政策で違いのある労働党が応じるかは不透明だ。
《「労働党の連立問題への対応」に関して英語にて解説》
政権の不安定要因の1つにイスラエル特有の首相公選制がある。
国民による直接選挙で首相の権限を強化することを目的として96年に導入されたが、議会の政権基盤が弱くても国民の人気が高ければ当選できるようになった。
[「首相公選制の導入」を英会話/ディベートのテーマとして]
また、導入後、議会選では小政党に票が分散する傾向が強まり、首相は議会で多数派を構成することが難しくなった。
対パレスチナ強硬派で知られるシャロン氏が当選したことで、中東和平交渉は停滞するとの見方が強まっている。
<英会話/ディスカッション:シャロン氏当選の波紋>
パレスチナ自治政府は同次期政権との和平交渉開始に向けて動き出したが、交渉の即時再開は困難な情勢だ。
シャロン氏は和平交渉の開始について、衝突が収拾しなければ交渉には応じないとの立場を示している。
一方、パレスチナ側には、昨年9月下旬にエルサレムにあるイスラム教の聖地を訪問して一連の衝突のきっかけを作ったシャロン氏との交渉に対する抵抗感が根強い。
《「シャロン氏によるイスラム聖地訪問」について英語記事》
また、シャロン氏は和平交渉の最大の焦点であるエルサレム帰属問題について、「エルサレム分割は受け入れない」とし、パレスチナ側への主権移譲を一切認めない方針を明言している。
自治政府は7日の閣議後の声明で、エルサレム帰属問題で妥協しない姿勢を強調しており、交渉が再開しても難航は必至だ。
[「エルサレム帰属問題解決の難しさ」を英会話のトピックとして]
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