イラクで大量破壊兵器の捜索に当たっていた米調査団(チャールズ・ドルファー団長)は6日、イラク戦争開戦当時、同国に大量破壊兵器は存在せず、核兵器開発計画も進行していなかったと結論付けた最終報告書を発表した。
[「開戦の根拠否定」を英会話のトピックとして]
報告書によると、旧フセイン政権は91〜92年に未申告の生物兵器を廃棄したが、再開に有用なサンプルを残し、科学者も温存するなど開発能力の保持を図った。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
しかし、95年、発見を恐れて生物兵器計画を放棄した。
化学兵器は91年に未申告分を廃棄した。
核兵器計画については、91年の湾岸戦争後、国連の経済制裁の影響で開発能力が著しく衰退していった。
ブッシュ政権が、ウラン濃縮に使用する遠心分離器の部品で、核兵器開発の証拠としてきたアルミニウム管はロケット製造用だった。
また、大統領が昨年1月の一般教書演説で引用したウラン購入情報についても証拠は見つからなかった。
《「情報収集・分析の失敗」に関して英語記事》
旧フセイン政権に大量破壊兵器開発を促した動機として、報告書は80年代に戦争したイランへの対抗があったと指摘している。
フセイン政権は湾岸戦争後、体制の生き残りをかけ、国連による制裁の解除を最優先課題に据え、その実現のために自主的に兵器の廃棄を進めていたという。
<英語表現の工夫:生き残りをかける>
一方で、「フセイン元大統領は国連制裁が解除された場合、大量破壊兵器を再び製造できる能力を保持したいと望んでいた」とも指摘し、開発再開の意思があったことを認めている。
《「開発意図の認定」に関して英会話/ディスカッション》
調査団の最終報告書を受けて、終盤に入った大統領選挙のイラク政策を巡る論戦が一層激しさを増すのは間違いない。
<英語論説:大統領選に向けた論戦への影響>
「当時、脅威は切迫していなかった」とする民主党候補のケリー上院議員の主張が裏付けられた形になったことから、ケリー陣営は早速ブッシュ政権への攻勢を強める構えをみせている。
共和党のブッシュ大統領陣営は、報告書が「旧フセイン政権は大量破壊兵器を再開発する意図を持っていた」と認定していることを「脅威」の根拠に、「フセイン政権の崩壊で世界はより安全になった」というこれまでの主張を堅持するとみられる。
〔英会話表現による言い換え〕
大統領は6日、遊説先の演説で「フセインが兵器や関連物質、情報をテロ組織に渡す危険は現実のものだった」と述べ、イラク開戦の正当性を主張した。
しかし、報告書は「旧フセイン政権からテロ組織への兵器や情報の供与を示す証拠はなかった」と断定している。
<英会話/ディスカッション:ブッシュ政権による脅威の誇張>
米調査団の最終報告書に関して、細田官房長官は7日、イラクが国連決議に反して査察を拒否したことなどを理由に戦争を支持した当時の政府の判断に問題はないとの考えを示した。
ただ、政府は当初、開戦支持の根拠の1つとしてイラクの大量破壊兵器保有の脅威を強調していたことから、政府与党内には、政府の説明の整合性を疑問視する声もある。
[「イラク戦争支持の正当性」を英会話/ディベートのテーマとして]
|