19日、ブッシュ米大統領とブレア英首相はそれぞれ緊急記者会見し、リビアの最高指導者カダフィ大佐が大量破壊兵器を開発していた事実を認め、廃棄を確約したと発表した。
《「カダフィ大佐の反欧米的言動」について英会話》
リビアが米英に確約した内容は、(1)すべての核兵器開発計画の放棄とこれを検証するための査察と監視の即時受け入れ(2)射程300キロ以上、弾頭500キロ以上の弾道ミサイルの解体(3)核不拡散条約の完全履行を確認するための査察の受け入れと国際原子力機関の追加議定書への署名(4)化学兵器とその材料すべての破棄と化学兵器禁止条約への署名。
<英語にて解説:国際原子力機関の追加議定書>
リビアは今年3月に特使を通じて米英首脳に接触、両国との9カ月にわたる水面下の交渉の末、合意したという。
〔英会話表現による言い換え〕
合意公表前の10月と12月には米英の調査団がリビアを訪問。
10カ所以上の核開発関連施設に立ち入って、ウラン濃縮設備や遠心分離器などを発見した。
カダフィ政権の一方的譲歩を誘ったのは同国に対する経済制裁の解除だ。
国連安保理は92年3月、リビアが88年12月の英スコットランド上空でのパンナム機爆破と、89年9月のニジェール上空でのUTAフランス機爆破の両事件に関与したとして、対リビア制裁を決議した。
《「航空機連続爆破事件」に関して英語記事》
リビアは92年以降、世界有数の産油国でありながら、長期の経済制裁の影響により、経済成長は停滞が続いている。
特に93年の安保理決議で追加された禁輸措置で、石油関連機器・機材を入手できなくなり、輸出額の9割以上を占める石油生産は大きな打撃を受けた。
[「リビアへの制裁と経済停滞」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
近年は国際社会への復帰を優先し、99年にオランダでの裁判にパンナム機事件の容疑者2人を引き渡すなど、急激に融和的な姿勢を見せてきた。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
今年8月、パンナム機事件の犠牲者の遺族に対する補償で米英と合意、9月にはUTA機事件の犠牲者遺族と補償金額で合意。
これを受けて国連安保理は11年ぶりに対リビア制裁を全面解除した。
リビアは米国がイラク攻撃に踏み切った3月に米英に接触、イラク戦争を横目に見ながら交渉を進め、フセイン元大統領の拘束後に大量破壊兵器の完全廃棄を発表した。
大量破壊兵器の疑惑をきっかけに国家崩壊にまで追い込まれたイラクの姿が背中を押したこともまちがいない。
<英語表現の工夫:横目に見る、背中を押す>
ブッシュ大統領は記者会見で、「他の指導者たちがリビアを手本にすることを望む」「指導者が賢明な選択をした国は安全が保証される」「大量破壊兵器の保有を目指す各国の政権に明確なメッセージを送った」といった表現をちりばめた。
ブッシュ政権の視線の先には北朝鮮がある。
《「北朝鮮への外交圧力」について英会話/ディスカッション》
米国は「リビア効果」が北朝鮮に波及することを期待している。
しかし、北朝鮮はフセイン体制の崩壊後も基本的に核開発計画を放棄する姿勢を見せていない。
リビアの決定が北朝鮮に何らかの影響を与えるかどうかは不透明で、日本政府には影響は限定的との見方も出ている。
[「北朝鮮への影響」を英会話のトピックとして]
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