エビアン・サミットは3日間の討議を終え3日午前、議長総括を採択して閉幕した。
今回のサミットは、イラク戦争を巡り対立した主要国の首脳が一堂に会する初めての機会となった。
《「イラク戦争を巡る米欧の対立」について英会話》
大きな焦点とみられていたイラクの戦後復興問題は、復興支援に協調して取り組むことを確認したものの、米欧の立場の開きが大きい同国の対外債務問題について議論は深まらず、債務処理の具体論は主要債権国会議(パリ・クラブ)などに先送りされることになった。
<英語記事:イラクの対外債務問題>
世界経済については「多くの課題に直面している」としながらも、「成長の潜在能力に自信を持っている」と表明。
その上で「健全なマクロ経済政策を実施」するため、主要国間で政策協調していく方針を示した。
具体的には世界経済の成長維持へ構造改革を進めることの重要性に触れた。
《「各国の構造改革事情」に関して英語にて解説》
世界貿易機関(WTO)の新多角的通商交渉(新ラウンド)では、期限内合意を目指して交渉を後押しすることが議長総括に盛り込まれたが、ここでも日米欧の溝が深い農業自由化など個別の争点には踏み込まず、懸案はすべて9月にメキシコのカンクンで開かれる閣僚会議に持ち込まれる格好になった。
[「農業自由化を巡る日米欧の対立」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
ここ数年のサミットで為替が議論に取り上げられることは少なかったが、今回はユーロ高、円高に日欧が警戒を強めたことを受け、ブッシュ米大統領が「強いドル政策」の維持を強調。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
日欧首脳は歓迎の意を示したが、議長総括では為替問題に言及しなかった。
ブッシュ大統領の「強いドル」発言にもかかわらず、3日の東京外国為替市場の反応は限定的だった。
自然なドル安を米国が本音では望んでいるとの見方が市場では一般的だ。
《「米国のドル安容認」に関して英語記事》
何より、大統領自身、市場実勢を尊重し、市場介入に慎重な姿勢をみせている。
今回、拉致問題の解決がサミットの文書に初めて盛られた。
小泉純一郎首相が北朝鮮問題を最重要課題に取り上げたことを受けて議長総括は「核問題と拉致など未解決の人道的問題の包括的な解決を平和的手段で追求する努力を支持する」と明記した。
<英会話/ディスカッション:拉致問題明記の意義>
今回からロシアがサミットの正式メンバーとなった。
中国の胡錦濤国家主席もゲストとして初めて出席してインドやアフリカなど途上国との「拡大対話」を実施。
同じフランスのランブイエで開かれた第1回サミットから28年、5巡目を迎えたサミットが大きく様変わりしたことを印象付けた。
〔英会話表現による言い換え〕
今回のサミットの最大の課題は米欧の亀裂の修復だった。
ブッシュ大統領は中東和平仲介のためわずか26時間の滞在でサミットを切り上げた。
プーチン大統領とは1日の首脳会談で戦略パートナーの関係を確認する一方、シラク大統領とは握手する場面はあったものの、会談はわずか25分間で終わり、米独首脳会談は実現しなかった。
米国と仏独とのわだかまりの解消が難しいことを示す結果となった。
《「関係修復の難しさ」について英会話》
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