宇宙開発事業団は10日午後5時20分、鹿児島県の種子島宇宙センターから主力ロケット「H2A」3号機を打ち上げ、衛星2基を予定通りの軌道に乗せた。
<英語記事:H2A開発史>
H2Aは打ち上げ約14分後に次世代型無人宇宙実験システム(USERS)を高度450キロで切り離し、周回軌道に乗せた。
約30分後にはデータ中継技術衛星(DRTS)を「静止遷移軌道」に投入した。
《「静止遷移軌道」について英語にて解説》
DRTSは「こだま」と命名され、今後は約1カ月かけて高度3万6千キロの静止軌道に乗せる。
実用衛星の軌道投入成功は97年11月のH2Aの前身の「H2」6号機以来、約5年ぶりとなる。
H2は98年2月、5号機が第2段エンジンの早期停止で通信放送技術衛星の軌道投入に失敗、99年11月には8号機が第1段メーンエンジンの異常停止で運輸多目的衛星ごと爆破。
H2Aでも今年2月、2号機が小型衛星の分離に失敗している。
[「連続失敗に対する危機感」を英会話のトピックとして]
試験機だった昨年8月の1号機、今年の2月の2号機に続いて3回連続の打ち上げ成功となる。
今回、実用衛星を搭載した初の実用機でも成功したことで、商業衛星打ち上げビジネスへの参入に向けて大きな一歩を踏み出した。
<英語論説:衛星打ち上げビジネスの現状>
H2A事業の来年度からの民間移管にも弾みがつきそうだ。
H2Aは今後、11月に環境観測技術衛星、来年には国内初の情報収集衛星や気象衛星「ひまわり5号」の後継機となる運輸多目的衛星など、次々と実用衛星を打ち上げる予定だ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
H2A事業は来年度から順次三菱重工業に移管し、05年度から完全な民営化体制に移行する。
《「H2A事業の民営化」について英会話/ディベート》
三菱重工は新規契約分の製造を請け負うほか、受注活動を担当する民間約30社の共同出資会社、ロケットシステムを傘下に収め、製造、営業を一手に担うことになるが、世界の衛星打ち上げ市場で生き残るためには課題も多い。
一つはコストの削減だ。
世界的な通信不況で衛星需要は冷え込んでいる。
米連邦航空局の予測では商業衛星の打ち上げ数は02年の32基に対して来年は24基に減少し、08年までは20基台で推移するという。
一方、打ち上げビジネスへの参入は拡大する見通しで、受注競争は一段と激しさを増すとみられる。
<英会話:行き過ぎたコスト削減への懸念>
打ち上げ能力の増強も求められる。
今回のH2Aは、搭載可能な通信衛星が4トンまでの標準型だ。
最近の衛星は機能が充実し、重さ5トン以上のものが増えるなど今後は衛星の大型化も予想され、欧米ではそれに対応したロケットが相次いで登場している。
《「世界の大型ロケット」に関して英語にて解説》
保険料も大きな課題だ。
H2Aの現在までの実績では「保険契約を結ぶのも難しい」といわれる。
世界の打ち上げ市場で5割前後のシェアをもつ欧州アリアンスペース社は打ち上げ価格の10%以下という保険料を実現している。
保険料をアリアン並みに低く抑えるには、H2Aの打ち上げをさらに2、3機連続して成功させる必要がある。
[「信頼性の獲得」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
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