31日、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは日本政府が発行する円建て国債の格付けを二段階引き下げると発表した。
ムーディーズが日本国債の格下げに踏み切るのは98年以降4度目となる。
<英語にて解説:日本国債格下げの推移>
これにより日本の国債の格付けは最上格からは6番目の「A2」(シングルAに相当)となる。
《「国債の格付け」について英会話》
チェコやチリを下回り、イスラエルや南アフリカと並ぶ水準だ。
主要7カ国(G7)で日本と並び格付けが最低だったイタリアは15日に一段階引き上げられ「Aa2」(ダブルA)となっており、日本はイタリアより三段階低い。
ただ、格付け見通しは「安定的」で、一連の日本国債格下げは一段落した格好だ。
一方、外貨建て日本国債に関しては四段階も上の「Aa1」(ダブルAプラス)のままで、見通しも「安定的」に据え置かれた。
[「格付け差の背景」を英語論説のテーマとして]
ムーディーズは格下げの理由として、「現在の経済政策では政府債務の悪化に歯止めをかけられない」ことを挙げている。
<英会話/ディスカッション:日本の経済運営能力に対する不信>
また、「一般政府債務は先進諸国に例をみない水準に近付くと予想され、未踏の領域に入りつつある」と指摘。
一方で、多額の家計貯蓄などを理由に「政府の資金調達が危機的状況に直面する可能性は少ない」とも分析した。
格下げが債権や為替、株式の各相場に及ぼす影響について市場では「短期的に見れば限定的」との見方が多い。
ムーディーズは2月に格下げ方向での見直しを発表しており、31日午後の株式、債券市場とも「織り込み済み」として格下げに目立った反応はしていない。
《「織り込み済み」について英語表現の工夫》
シングルAへの転落で、国債を大量保有する邦銀などが直ちに売却に動く可能性は低い。
[「邦銀に与える影響」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
国際決済銀行(BIS)のバーゼル銀行監督委員会が導入する新ルールでは、格付けの下がった国債を金融庁などの裁量で引き続きリスクのない資産として扱えるためだ。
ただ、海外の機関投資家は「A1」以下の債権を投資対象から自動的に外す例が多く、日本国債が売られる契機になる。
また、一般的にその国で最も信用度が高いとされる国債の格付け低下は、邦銀の格下げにも波及しかねず、その場合、邦銀の資金調達などに影響が及ぶ可能性もある。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
財務省は4月から2回にわたり、ムーディーズなど米欧の格付け会社に対し格下げの動きをけん制する異例の質問書を送付、格付けの客観的な基準を明示するよう求めた。
[「財務省の反論」を英会話のトピックとして]
また、格付けが新興国や途上国並になったことに対して、経済界からは妥当性を疑う声が相次いだ。
日本の経済力は、国内総生産(GDP)や対外純資産、外貨準備、民間貯蓄といった指標を見れば依然として大きく、強い。
一方、日本政府の債務残高はGDPの約1.4倍にのぼり際立っている。
ムーディーズは今回、最終的には財政赤字の大きさに焦点を当てた。
《「財政面重視の評価」に関して英会話/ディベート》
政府債務の膨張とそれを十分管理できない政府にあえて警鐘を鳴らしたしたといえるだろう。
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