政府の総合科学技術会議の生命倫理専門調査会は23日、人間のクローン胚の研究を条件付きで容認する最終報告案を決定した。
[「クローン技術」を英会話のトピックとして]
ヒトクローン胚は、卵子を精子と受精させるのではなく、核を取り除いた卵子に皮膚など体細胞から取り出した核を移植して人工的に作る。
試験管内で培養を続けて大きくすれば、その中からあらゆる組織や臓器に分化する胚性幹細胞(ES細胞)を取り出すことができる。
《「ES細胞の作り方」について英語にて解説》
一方、子宮に戻して育てると、組み込んだ体細胞の持ち主と同じ遺伝情報を受け継ぐクローン人間が誕生する可能性がある。
クローン胚の作製や利用は現在、01年6月施行のクローン技術規制法に基づく指針で禁止されている。
同法は施行後3年をめどに内容を見直すことになっており、調査会は01年8月からクローン胚の研究解禁の是非を議論してきた。
この間、賛成派と慎重・反対派の溝が埋まらないまま、議論は一貫して平行線をたどり、昨年末にまとめるはずだった報告案は両論併記の中間報告どまりだった。
<英語表現の工夫:平行線をたどる>
賛成派は難病患者への恩恵を強調。
クローン胚は、体細胞提供者と同じ遺伝情報を持つことから、患者本人の体細胞を使ったクローン胚からES細胞を取り出せば、移植しても拒絶反応の少ない組織や臓器などを作ることが可能だ。
このため、失われた組織や臓器を修復する再生医療への応用が期待されている。
《「ES細胞の再生医療への応用」に関して英会話/ディスカッション》
一方、生命の始まりである胚を道具として扱うことに対する生命倫理上の懸念は根強い。
[「先端医学と生命倫理の対立」を英会話/ディベートのテーマとして]
反対派からは、クローン胚の科学的な有用性や安全性を疑問視する声も出ている。
23日の調査会では、臨床応用でない基礎的な研究に限ってクローン胚研究を認めるが、制度的な枠組みが整備されるまでは凍結する案を会長が提示。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
各委員が意見を表明した後、異例の採決となり、賛成10人、反対5人で、研究容認が決まった。
会長案は、クローン人間誕生の防止策やクローン胚の厳重管理、卵子提供女性の保護などに関する制度や、クローン胚研究が再生医療にどの程度役立つかなどを科学的に検証し、必要な場合は研究中止を勧告できる制度の整備を研究凍結解除の条件としている。
《「歯止め措置」について英会話》
ヒトクローン胚の研究を巡っては海外でも賛否が分かれている。
ドイツやフランスは人間の尊厳を損なう恐れがあるとして禁止しているが、イギリスなどは医療目的の研究などに限定して認めている。
米国は連邦政府による研究への助成は厳しく制限しているが、研究を禁じる法規制はない。
[「研究の規制状況」を英語記事のトピックとして]
ここ最近ヒトクローン胚研究を解禁する国が増え、再生医療への応用を目指す国際研究競争も激しくなっている。
日本でも研究が容認されることになったが、凍結解除の条件である制度的な枠組みを巡って曲折も予想され、実際に研究が開始されるまでにはまだ時間がかかりそうだ。
<英会話/ディスカッション:国際競争での出遅れ懸念>
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