欧州の新聞や雑誌がイスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画を掲載したことに対するイスラム諸国の抗議行動が激しさを増している。
シリアの首都ダマスカスでは4日、デンマーク、ノルウェー両大使館が放火された。
《「大使館放火に対する現地政府の責任」について英会話/ディスカッション》
発端は、昨年9月にデンマークの保守系紙ユランズ・ポステンがムハンマドの風刺漫画を掲載したことだ。
爆弾の形をしたターバンを巻くムハンマドの姿が描かれており、テロリストを連想させた。
<英語にて解説:デンマーク紙掲載の風刺画>
直後からイスラム社会は抗議の声を上げていたが、今年1月10日にノルウェーのキリスト教系雑誌マガジネットがこの漫画を転載し、騒ぎが一気に大きくなった。
中東諸国でデンマーク製品の不買運動や抗議デモが盛り上がり、抗議行動への参加を呼びかけるホームページも登場した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
1月30日にはバレスチナ自治区ガザで、ファタハ系武装組織を名乗るグループがデンマーク国旗を焼く事件が起きた。
2月に入って仏大衆紙フランス・ソワールなど欧州各地の新聞が風刺画を転載したのを機に、抗議活動は急速に過激化した。
2日に英BBCがデンマーク紙の風刺漫画を放映、3日付の仏紙ルモンドは「ムハンマドを描いてはならない」というフランス語の文章を並べ、その文字列でムハンマドとみられる人物を描いた漫画を新たに掲載した。
《「新たな風刺画掲載」に関して英会話/ディベート》
イスラム教徒が風刺漫画に反発する理由は、イスラム教が偶像崇拝を厳しく禁じているからだ。
神の言葉を人々に伝え広める預言者ムハンマドの肖像を描くこと自体がタブーだ。
しかも、風刺の対象にしたため、二重にイスラム教を傷つけたと受け止めている。
[「宗教的反発以外の理由」を英会話のトピックとして]
一方、欧州メディアがイスラム社会を刺激する風刺漫画の転載に踏み切った背景として、欧州では民主主義の基礎として表現の自由を主張する考えが定着していることがある。
イスラム諸国での暴力や脅迫を伴う抗議活動に対し欧州メディアは反発を強めた。
<英会話/ディスカッション:欧州の移民問題の影>
ムハンマド風刺画掲載に反発するデモは5日さらに拡大し、レバノンの首都ベイルートでもデンマーク領事館が放火された。
[「デンマーク政府の対応」を英語記事のトピックとして]
エジプトの首都カイロでは、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」が主導する大規模デモが行われた。
6日にはアジア各国でもイスラム社会の反発が激化。
世界最大のイスラム教徒人口を抱えるインドネシアでは、首都ジャカルタなど各地でデモが相次いだ。
《「インドネシア政府の懸念」について英語にて解説》
アフガニスタンではデモ隊と警官隊との衝突で死傷者が出た。
また、アフリカのソマリアでも投石があり、死者が出るなど、反発は世界中のイスラム社会に広がった。
7日、イランの最高指導者ハメネイ師が風刺画問題に初めて言及し、欧米の言論の自由には「二重基準がある」と強く非難した。
[「言論の自由の二重基準」を英会話/ディベートのテーマとして]
同国の有力紙はホロコーストに関する風刺漫画のコンテストを実施すると発表。
欧州とイスラム世界の対立は、ユダヤ教も巻き込み混乱が拡大する様相を見せている。
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