国連安全保障理事会は23日、対イラン制裁決議を全会一致で採択した。
今年2月に国際原子力機関(IAEA)がイランの核問題を安保理に付託して以来、制裁決議採択は初めてとなる。
《「IAEAの安保理付託」について英語記事》
決議はイランのウラン濃縮活動の停止を要求。国連憲章第7章41条(非軍事制裁に限定)に基づき、イランの核とミサイル関連の物資や技術の移転禁輸を加盟国に義務づけた。
また、核とミサイル開発に関わる個人や団体の金融資産凍結も盛り込み、制裁対象となるイランの12人と10団体を付属文書に明記。
イランが60日以内に決議に従わない場合、安保理がさらなる制裁措置をとると警告した。
<英語にて解説:対北朝鮮制裁決議との比較>
イランは02年に核開発疑惑が浮上すると否定。
03年10月に英独仏の説得で、ウラン濃縮の一時停止に合意したが、05年8月に強硬派のアハマディネジャド大統領が就任すると、今年2月にウラン濃縮を再開した。
[「イラン核問題を巡る動き」を英会話のトピックとして]
安保理は3月、ウラン濃縮停止を求める議長声明を採択。
6月に常任理事国とドイツが包括的見返り案を提示した。
《「包括的見返り案」に関して英語にて解説》
7月には安保理が経済制裁を警告する初の対イラン決議を採択した。
イランは8月、包括的見返り案に回答し、濃縮活動の停止を拒否。
10月に英仏独は非公式に常任理事国に制裁決議の原案を提示し、各国との調整を続けていた。
アハマディネジャド大統領は24日、決議を「紙くず」と切り捨て受け入れを拒否。
最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長は中部ナタンズの核施設でウラン濃縮に使う遠心分離器を3千基に増やす作業を同日から始めると述べ、濃縮作業を継続する方針を示した。
<英会話:イランの強硬姿勢>
決議採択までに2カ月以上要したように、制裁を巡って米欧と中ロの足並みがそろっていない。
アハマディネジャド大統領が強気の姿勢を崩さないのも、制裁決議の内容がイランと経済関係の深い中ロの反対で、緩和された経緯があるためだ。
[「イラン核問題解決の難しさ」を英語論説のテーマとして]
全会一致の体裁を整えるために、決議案は5回も修正を重ねた。
1回目の修正ではロシアの支援で南部に建設中のブシェール原発への言及が削除。
3回目にはリストに掲載された個人の海外渡航「禁止」が「警戒」に格下げになった。
今回の制裁決議の特徴は資産凍結の対象を明示したことだが、4回目の修正で、資産凍結は関係各国の判断にゆだねられることになった。
《「制裁の実効性」について英会話/ディスカッション》
イラン国内では大統領らの強硬姿勢に異議を唱える動きも出始めている。
今月15日の専門家会議と地方議会の同時選挙で、いずれも大統領を支持する保守強硬派が惨敗、ラフサンジャニ最高評議会議長を中心とする保守穏健派が躍進した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
米政府は今回の安保理決議の内容について不十分と指摘、国連の枠外の制裁措置も強化すべきだとし、特に日本や欧州に対して、イランへの資金融資を停止するよう求めると表明した。
<英会話/ディベート:独自制裁の強化>
米政府は今後、独自制裁を加える「有志連合」による圧力に軸足を移す方針だ。
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