旧ソ連のグルジアとロシアの武力衝突が激化している。
<英語にて解説:グルジアとロシアの対立>
グルジア軍は8日、同国からの分離独立を主張する南オセチア自治州に進攻し、大規模な攻撃を開始。
これに対しロシア軍はグルジアの首都トビリシ郊外の空軍基地を爆撃するなど軍事介入を本格化させた。
南オセチアでは今月に入り、ロシアが支援する分離独立派とグルジア部隊との間で銃撃戦が頻発していた。
《「南オセチアの分離運動」に関して英語記事》
7日、紛争拡大を回避するため、ロシア外務省特使が現地を訪れ、8日に双方が会談することで合意したが、8日午前0時ごろ、戦闘が再開した。
南オセチアはグルジア北部にある自治州で、人口は約7万人。
イラン系言語を話すオセット人が多数を占め、ロシアへの帰属意識が強い。
ソ連初期の1922年にグルジアに編入され、同じオセット人が多く住みロシアの一部となった北オセチア共和国と分断された。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
90年12月に南オセチアで多数派のオセット人がロシアへの編入を求めたことを契機に大規模な紛争が起きた。
背景には、ソ連末期に民族意識が高まった南北のオセット人の間で合併の動きが表面化したことがある。
[「ソ連崩壊と民族紛争」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
この南オセチア紛争では分離独立派を支援するロシアとグルジアが対立。
多数の死傷者が出たが、92年に両国の間で停戦合意が成立した。
<英語記事:南オセチア紛争の経過>
ロシア、グルジア、南オセチアによる平和維持部隊が停戦監視にあたる体制ができたが、その後も散発的な衝突が続いていた。
南オセチアでは01年、北オセチアとの合併を主張するココイトイ氏が大統領選に当選。
一方、グルジアでは04年に国家統一を唱える親欧米路線のサーカシビリ政権が誕生し、両者間の緊張が一段と高まった。
《「グルジアを巡る主な動き」について英語にて解説》
ロシアはサーカシビリ政権を締め付けてきた。
政権が北大西洋条約機構加盟の動きを強めたことや、米欧がグルジア経由でロシアを通さずカスピ海周辺の石油を欧州に運ぶパイプラインを建設したことに危機感を募らせたためだ。
<英会話/ディスカッション:ロシアによるNATO加盟けん制>
経済制裁の他に、この数カ月間はグルジア領内の分離独立派への支援を強化、グルジア軍の無人偵察機の撃墜や同国への領空侵犯など軍事的な挑発を繰り返していた。
グルジアは今年2月にコソボ自治州がセルビアから独立を果たしたことが南オセチアの分離運動を活発化させかねないとの懸念を強め、自治地域を巡る紛争解決に米欧の介入を求めてきた。
[「コソボのセルビアからの独立」を英会話のトピックとして]
しかし、米欧が実効力のないロシア批判に終始したため、グルジアは軍事作戦に踏み切ることで、米欧を本格的に関与させるための賭けに出たとの指摘もある。
グルジアを支援してきたブッシュ政権の動きも鈍い。
9日の緊急声明では直接的なロシア批判を避けた。
東欧でのミサイル防衛構想を巡って米ロ関係には摩擦が広がっている。
イランや北朝鮮の核問題でロシアの協力が欠かせない米国としては、米ロ関係に決定的な対立をもたらす危険は避けたいというのが本音だ。
〔英会話表現による言い換え〕
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