日本銀行は21日開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を年0.25%から0.25%引き上げ、0.5%とすることを決め、即日実施した。
<英語にて解説:無担保コール翌日物金利>
利上げは昨年7月のゼロ金利解除以来、7カ月ぶり。
翌日物金利の水準が0.5%になるのは、1998年9月に誘導目標を0.25%に引き下げて以来、約8年半ぶりとなる。
福井俊彦総裁は会合後の記者会見で、利上げ判断の根拠の一つとして、「生産、所得、支出の好循環のメカニズムが維持され、景気が緩やかな拡大を続ける可能性が高い」ことを挙げた。
[「景気拡大の実感」を英会話のトピックとして]
06年10〜12月期の国内総生産(GDP)は実質成長率が年率4.8%の高い伸びになった。
懸念されていた個人消費については、昨年夏場の落ち込みは一時的で、先行きはプラス傾向をたどる可能性が高まったと判断した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
昨年10〜12月期のGDPを需要項目別にみると、個人消費は前期比1.1%増で、7〜9月期に落ち込んだ分を取り戻した。
伸び悩んでいる消費者物価も、原油安などの押し下げ要因はあっても、中長期的に上昇基調にあるとの見方を示した。
ただ、日銀が公表した2月の金融経済月報は、目先の消費者物価の上昇率が原油価格反落の影響で一時的にマイナスに振れる可能性も示唆している。
<英会話/ディベート:物価下落の可能性を見通した上での利上げ>
さらに、今回の利上げ判断の背景には円安傾向への配慮もあった。
超低金利を続ければ、低利の円を借りて金利の高い他国通貨で運用する「円キャリー取引」を助長、更なる円安を招きかねないためだ。
[「円キャリー取引に伴う円安進行」を英語論説のテーマとして]
福井総裁は低金利継続の期待が定着すると「行き過ぎた金融・経済活動を通じ、資金の流れや資源配分にゆがみが生じる」と指摘した。
利上げは、金融機関への利払い費が増加するため、企業収益の下押し圧力となる。
ただ、企業はバブル崩壊後、借金を減らしており、金利上昇への耐久力が高まっていることから、企業に及ぼす利上げの影響は限定的との見方が多い。
《「家計への影響」について英会話》
決定会合では福井総裁が利上げを提案、政策委員9人の採決結果は8対1の賛成多数だった。
岩田一政副総裁がただ一人、物価の先行きに強い懸念を示して反対票を投じた。
98年の新日銀法施行以来、総裁と2人の副総裁の執行部が割れたのは初めて。
[「割れた執行部票」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
日銀は1月の前回会合では、3人の委員が利上げを主張したが、利上げを見送った。
この会合前に与党幹部から利上げを牽制する発言が相次ぎ、日銀の独立性が尊重されていないのではとの懸念が内外に広まったが、今回は政府・与党から声高な反対論は出なかった。
<英語記事:反対論を控えた与党の本音>
総裁は「2%の実質成長率に比べて0.5%の金利は依然極めて低い」と述べ、更なる利上げの必要性に言及した。
《「金融正常化への道のり」に関して英会話/ディスカッション》
物価や賃金など足元の指標は力強さを欠き、統一地方選や参院選が近づけば政治的圧力が高まりかねないため、市場では「次の利上げは半年先」との見方が大勢だ。
|