タイの反政府市民団体「民主市民連合(PAD)」によるデモ隊は25日、新バンコク国際空港(スワンナプーム空港)の周辺道路を封鎖し、一部がターミナルビル内に突入した。
空港当局は同空港を閉鎖し、出発便が全便キャンセルとなった。
《「デモ隊による空港占拠」について英会話》
政府関連施設を標的としてきたPADの抗議行動は多くの旅行者を巻き込む事態にまで発展した。
06年1月、当時のタクシン首相一族の株取引疑惑が浮上、その翌月にタクシン首相の退陣を目的としてPADが結成された。
同年9月の軍事クーデターでタクシン首相は失脚したが、07年12月の総選挙で政権を握ったタクシン元首相派の国民の力党が憲法改正の動きを見せると、今年5月にPADは反政府運動を再開した。
<英語記事:タイの政治情勢>
PADは8月26日、首相府を占拠。
9月2日に政府支持派と衝突、バンコク全域に非常事態宣言が発令された。
10月7日には警官隊と衝突し、PAD支持者2人が死亡。
当初は元首相に反発する市民の支持を集めていたPADも、過激化する行動に市民の非難が強まり、最近は求心力が急速に低下していた。
[「PADの運動過激化」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
PADはタクシン元首相派のソムチャイ現政権を打倒する「最後の闘い」と称して24日、国会と臨時首相府を包囲。
そして25日の空港占拠に至った。
治安当局は衝突による流血の事態を恐れて、デモ隊の阻止に動かなかった。
〔英会話表現による言い換え〕
空港閉鎖の影響で、約1万人が足止めされた。
スワンナブーム空港は東南アジア有数の巨大ハブ空港で、国内線・国際線合わせて1日700便が離着陸し、約12万5千人が利用する。
[「日系企業への影響」を英会話のトピックとして]
1日の運航停止で空港が被る損失は5千万バーツ(約1億5千万円)になる見通し。
タイの基幹産業である観光業の業績は、PADの首相府占拠以降、急降下している。
9月は旅行客のキャンセルが相次いだ。
《「観光への打撃」に関して英会話/ディスカッション》
政情不安は経済成長にも影響を与え、7〜9月期のGDP成長率は、昨年1年間の伸び率4.8%に比べ、前年比4.0%と減速している。
26日、国王が統帥権をもち、政治的に大きな影響力を持つタイ軍が混乱打開に向けて動いた。
<英語論説:タイ政治における軍の影響力>
軍トップのアヌポン陸軍司令官は同日夕の記者会見で、首相に下院解散と総選挙の早期実施を勧告。
PADに対しては空港からの即時撤収を含む抗議行動の収束を呼びかけた。
ソムチャイ首相は北部チェンマイでテレビ演説し、政権の正当性を強調、アヌポン陸軍司令官の勧告を拒否した。
《「首相強気の背景」について英語にて解説》
一方、PADは空港での空港封鎖を首相辞任まで続ける方針を表明。
深夜には旧バンコク国際空港(ドンムアン空港)にも集結、27日からの運航が全面停止となった。
ソムチャイ首相は27日、PADの占拠で機能不全となったバンコクの新旧2つの国際航空に限定して非常事態を宣言した。
空港閉鎖3日目でようやく政府が対応に乗り出した格好だが、事態収拾につながるかは不透明だ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
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