東京都の石原慎太郎知事は7日の記者会見で、法人事業税に大手金融機関を対象とした外形標準課税を導入する方針を発表した。
関連条例案を23日開会の都議会定例会に提案する。
自治体が独自に外形標準課税を適用するのは全国で初めてだ。
[「都知事の決断」を英会話のトピックとして]
外形標準課税は国税の法人税のように企業の所得ではなく、資本金や給与総額など企業規模に応じて税額を決める課税方式。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
都の方針では、銀行の本業によるもうけである業務純益に人件費などの経費を加えた「業務粗利益」に対して課税する。
資金量5兆円以上の都市銀行、地方銀行、信託銀行、日本銀行など合計30行程度を対象に年約1100億円の税収増を見込む。
《「東京都の財政難」に関して英語記事》
税率は、過去15年間に大手行が都に収めている事業税額を参考に原則として3%となる予定だ。
5年間の時限措置で、2000年度から実施するという。
都道府県税の柱の一つである法人事業税は、現行方式では各年度の利益から損金を引いた所得を課税対象としているため景気の動向に左右されやすく、赤字になると課税を免れるという問題がある。
これに対し外形標準課税は、赤字法人にも課税できるので、自治体にとっては税収が安定するという利点がある。
<英会話/ディスカッション:法人事業税の問題点と外形標準課税の必要性>
今回の外形標準課税の導入は法人事業税の特例を規定した地方税法に基づくものだ。
《「地方税法の特例規定」について英語にて解説》
すでに電力、ガス、生命保険、損害保険の4業種に対しては例外的に同方式が適用されている。
地方税法の特例規定によると、上記4業種以外でも自治体が「事業の状況に応じて」、事業税に外形標準課税を導入できる。
政府税制調査会は10年以上前から、自治体の税収安定のために外形標準課税の導入に向けた議論を重ねてきた。
しかし、不況下の赤字企業に課税することに、産業界や与党の抵抗は大きく、外形標準課税の早期実施を見送ったばかりだった。
<英語記事:外形標準課税を巡る経緯>
都が金融機関を対象とした理由としては、税収のぶれが特に大きいことがある。
金融機関が都に収めた法人事業税は、ピークの89年度には2000億円を超えたが、99年度には34億円まで落ち込んだ。
都知事は、金融機関について「行政サービスの対価として税負担が少なすぎる」と指摘している。
[「課税の公平性」を英会話/ディベートのテーマとして]
年間1000億円に上る新規増税に大手銀行は衝撃を受けている。
大手行の大半は不良債権処理で赤字決算が続き、所得課税の事業税を納めていない。
業務粗利益を課税ベースとする都の案が実現すれば、大手行は「多額の負担を強いられる」だけに、経営への影響が大きいと反発している。
《「銀行経営への影響」について英会話》
他道府県の知事からも反発が出始めている。
都が外形標準課税を実施すると、銀行の利益がその分減るため、他道府県分の法人事業税収が減ることもありうる。
国の法人税も影響を受ける。
そのため、知事会や自治省は地方税法改正による外形標準課税の一律導入を求めてきた。
[「地方財政のあり方」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
都の独断専行との声も上がっている。
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