13日、国際オリンピック委員会(IOC)はモスクワで開いた第112次総会で、2008年夏季五輪の開催都市を北京に決定した。
夏季五輪がアジアで開かれるのは1964年の東京大会、88年のソウル大会に次いで3度目である。
《「アジアでの五輪開催」について英会話》
08年五輪招致は北京、大阪、パリ、トロント、イスタンブールの5都市が争った。北京は8年前、00年夏季五輪の開催地を決める決戦投票で、シドニーに2票差で敗れた。
今回は、IOC委員による2回目の投票で、2位のトロントに大差をつけて過半数を獲得する圧勝だった。
<英語にて解説:中国の招致活動>
大阪は知名度の低さをばん回できず、最下位で落選した。
江沢民国家主席ら中国指導部は、五輪誘致成功は政権の求心力を強めることにつながると期待している。
中国国内は五輪開催を大国としての国際的な認知と受け止めており、指導部はこれを江沢民政権の功績としてアピールすることで権威を高め、政権の安定化を図る考えだ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
また、中国共産党が来年秋に開く党大会では、現在74歳の江沢民総書記ら現指導部の大半が一線を退くと予想される。
指導部は五輪開催を求心力にして、58歳の胡錦濤・国家副主席世代への円滑な交代を狙っているとみられる。
《「中国指導部の世代交代」に関して英語論説》
7%台の経済成長維持を目指す中国にとって、北京五輪による特需はさらなる経済発展の起爆剤となる。
<英語表現の工夫:経済発展の起爆剤>
北京はすでに巨額の資金を投じてスポーツ施設の建設を進めており、道路網や地下鉄、上下水道、通信施設などインフラ整備も一段と加速する。
中国は年内にも世界貿易機関(WTO)への加盟が確実だ。
WTO加盟や五輪開催で改革開放路線にさらに弾みがつき、中国のグローバル化が一層進む可能性もある。
[「中国のWTO加盟の意義」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
10年に向けて万博博覧会の上海への招致活動もすでに始まっている。
今回の決定にはサマランチ会長率いるIOCの思惑も強く影響した。
98年、02年冬季五輪開催決定に絡んで、委員が招致側から多額の賄賂を受け取っていたスキャンダルが発覚。
《「五輪招致スキャンダル」に関して英語記事》
IOCが名誉と権威を回復するために選択したのは、五輪の国際社会の平和への貢献をアピールすることだった。
社会主義大国で初めての開催の政治的意義は、他の候補都市とは比べものにならないほど大きい。
米国は93年、クリントン前政権が五輪開催選考で人権問題を重視するようにIOCに求め、北京はシドニーに惜敗した。
[「中国への人権批判」を英会話のトピックとして]
今回、ブッシュ政権は米中関係改善を優先、五輪問題について「IOCによる投票で決まる」と不介入の立場をとってきた。
こうした米国の中立姿勢が結果的に北京開催決定の追い風になった。
中国が五輪を無事に終えるには、国際世論への一定の配慮が欠かせない。
台湾への武力行使や、国内の民主化運動やチベット独立運動などの弾圧といった強硬な態度をとりにくくなるのは確実だ。
これから7年間は内政、外交両面で自制を迫られるだろう。
《「抑止力としての五輪成功」について英会話/ディスカッション》
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