4日未明、イスラエルの緊急閣議がパレスチナ自治政府を「テロ支援組織」と認定した。
シャロン首相は国民向け演説の中で、自治政府への「対テロ戦争」を宣言、「アラファト議長にテロ活動の直接的な責任がある」と糾弾した。
93年に始まったオスロ合意による中東和平は崩壊の危機を迎えることになった。
《「オスロ合意と和平プロセス」について英語にて解説》
これに先立ってイスラエル軍は3日夕、パレスチナ自治区への報復攻撃を開始。
4日未明にはヨルダン川西岸ラマラに戦車部隊が侵攻し、アラファト議長が執務中の議長府周辺にもミサイルを撃ち込んだ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
今回の報復攻撃は、1日深夜から2日昼にかけて起きた連続自爆テロに対するものだ。
<英語記事:イスラエルとパレスチナをめぐる最近の動き>
ユダヤ教の安息日明けで賑わうエルサレムの繁華街とイスラエル北部のハイファで爆弾テロが相次ぎ、犯人3人を含む計27人が死亡、約200人が負傷した。
事件後、イスラム原理主義過激派のハマスが一連のテロの犯行声明を出した。
ブッシュ米大統領は1日、連続自爆テロを「殺人行為」と非難する声明を発表、アラファト議長に対し、テロ犯の迅速な逮捕と支援組織への断固たる措置を要求した。
米国はジニ前中東軍司令官を特使として現地に派遣するなど、昨年9月以来続く衝突の収拾に向け、先週から仲介を本格化させたばかりだった。
〔英会話表現による言い換え〕
アラファト議長は自爆テロに対する欧米の強い反発を受けて、治安当局に過激派逮捕を命じた。
2日夜までにヨルダン川西岸とガザで逮捕されたハマスやイスラム聖戦の活動家は80人を超えた。
幹部を含むハマスメンバーの大量逮捕は昨年9月のインティファーダ(民衆蜂起)開始以来初めてだ。
《「インティファーダ以降のパレスチナ情勢」について英会話》
イスラエルとの衝突が長引く中、ハマスやイスラム聖戦への民衆の共感が強まる一方、アラファト議長に対する支持率は低下している。
<英会話/ディスカッション:アラファト議長の指導力低下>
過激派摘発に本格的に乗り出せば、民衆の反発が高まるのは避けられず、議長にとっては政治的リスクを伴う。
イスラエルの緊急閣議では、右派リクードと連立内閣を組む和平推進派のペレス外相ら労働党の閣僚8人がテロ支援組織認定に反対、投票を棄権した。
ペレス外相は4日の声明で連立離脱の可能性を示唆、シャロン政権は分裂の恐れも出てきた。
《「イスラエル政局の流動化」に関して英語記事》
米国は「イスラエルによる自衛権行使」として報復攻撃を支持している。
ブッシュ政権は、9月の同時テロ以後、対テロ戦へのアラブ・イスラム諸国の協力を取り付ける狙いから、中東和平への関与を強める姿勢に転換、11月にはブッシュ大統領が「パレスチナ独立国家樹立」を支持する発言をした。
[「同時テロ以後の米国の中東政策」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
だが、連続自爆テロで状況は再び暗転した。
ブッシュ大統領は4日、ハマスと密接な関係を持つ団体が保有する在米資産を凍結したと発表した。
今回の資産凍結は、米政府がビンラディン氏の組織アルカイダとともに、ハマスに対してもテロ資金封じ込めを進める決意を示している。
<英語論説:ハマス関連資産凍結の影響>
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