4日、オーストリアで右翼政党・自由党と保守・国民党による連立内閣が大統領府で就任宣誓式を行い、正式発足した。
<英語記事:欧州の右翼政党の現状>
欧州連合(EU)内で初めて右翼参加政権が誕生することになった。
これを受け、自由党の政権参加は認めないと警告してきたEU・欧州委員会は同日、オーストリアとの政治対話停止を軸にした外交制裁を正式に発動したと発表した。
[「EU初の加盟国への外交制裁」を英会話のトピックとして]
オーストリアを除く加盟14カ国は同国との二国間関係を凍結する。
欧州委員会の報道官は、新政権の政策の行方次第ではEU基本法のアムステルダム条約に基づいてオーストリアの加盟国としての権利を一部剥奪する追加制裁も視野に入れていることも明らかにした。
《「アムステルダム条約」について英語にて解説》
EUの政策決定への投票権の剥奪が最大の制裁措置となる。
アムステルダム条約6条は加盟国の「共通の理念」として、民主主義や人権の尊重など4つの原則をうたっている。
7条では6条が定めている原則に加盟国が違反した場合、加盟国の権利の一部剥奪を認めている。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
外国人移民の排斥を掲げ、EU拡大反対を主張してきた自由党は、昨年10月の総選挙で27%の票を獲得し、70年代から政権づくりの主体となってきた社会民主党に続く第2党に躍進した。
《「オーストリアの二大政党制」に関して英語論説》
今年1月に社民党と国民党の連立継続を目指す協議が決裂すると、これに代わって自由党と経済界の利益を代表する保守政党・国民党の両党が連立で合意した。
今月3日、連立政権樹立で合意した自由党のハイダー党首と国民党のシュッセル党首は、国外からの懸念や批判を解消するために民主主義尊重などを明記した宣言に署名した。
宣言は、自由党の政権入りに難色を示していたクレスティル大統領が署名を求めたもので、欧州統合への努力や人種差別と外国人排斥の拒否などを約束している。
《「宣言署名の効果」について英会話》
両党首は同日、連立協定にも正式調印し、会見で行財政改革や民営化の推進など社民党と国民党の「大連立」では実現できなかった大胆な政治・経済改革を断行する方針を発表した。
両者は大統領に閣僚名簿も提出、首相にシュッセル氏が就任する一方、過去にナチス擁護発言をして批判を浴びたハイダー氏は閣外にとどまることになった。
[「ハイダー氏の過去の言動」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
クレスティル大統領は3日夕、自由党と国民党による連立政権を承認したと発表した。
ただし、両党が提出した閣僚名簿のうち自由党の推す閣僚候補2人は外国人排斥の言動が際立つなどの理由から不適格と大統領が判断して拒否したため、差し替えられた。
《「閣僚差し替えの背景」に関して英語記事》
保守右翼連立政権の発足により、4カ月にわたったオーストリアの政治空白は終わるが、自由党の政権参加については米国やイスラエルなども反発しており、新政権の発足でオーストリアが国際的に孤立するのは避けられない。
政権はまず、実際の政策によって同国への国際的な信頼回復に努めなければならない。
英会話/ディスカッション:対外信頼回復の行方>
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