11日、安倍晋三首相は日本を公式訪問している中国の温家宝首相と会談した。
両首相は、昨年10月に北京で開いた日中首脳会談で合意した「戦略的互恵関係」の具体化に向けて環境・エネルギーを中心に幅広い分野で協力していくことで一致した。
<英語にて解説:戦略的互恵関係>
歴史問題を巡っては、温首相が「歴史問題はうまく処理できれば両国関係発展の良い政治的基礎になるし、うまく処理できなければ障害になる」と牽制すると、安倍首相は「日本が平和国家として歩んでいくことが私の歴史認識そのものだ」と応じ、互いに深追いをしなかった。
《「日中の歴史問題」について英会話》
安倍首相が北朝鮮の拉致問題解決に向けて中国の北朝鮮への働きかけ強化を求めると、温首相は「拉致」という文言を使って「日本国民の拉致に対する感情を理解し、同情する」と語り、必要な協力を約束した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
中国側がこだわったのは台湾問題だった。
温首相が「日本も台湾独立反対の立場を明確にしてほしい」と迫ると、ためらっていた安倍首相も最後には「2つの中国の立場を取らず、台湾独立も支持しない」と言明した。
《「台湾問題に対する日本の立場」に関して英語にて解説》
東シナ海のガス田開発問題については、今秋までに共同開発に関する具体策を練ることで合意。
<英語記事:東シナ海のガス田開発問題>
「双方が受け入れ可能な比較的広い海域での共同開発を行う」ことでも一致したが、問題の核心である共同開発海域の特定については、意見の隔たりが依然として大きく、決着を先送りした。
両国は会談後に署名した環境保護に関する共同声明で、京都議定書が失効する「2013年以降の実効的な枠組みの構築に関する過程に積極的に参加する」と明記した。
中国が「ポスト京都」を巡る国際交渉への参加を明確にしたことは評価に値する。
[“「ポスト京都」を巡る動き”を英会話/ディスカッションのテーマとして]
中国は10年までには米国を抜いて世界最大の二酸化炭素排出国になるとみられている。
《「中国の経済成長と環境保護」に関して英語論説》
世界的に温暖化への危機感が急速に高まる中、京都議定書では排出削減義務を負っていない中国に対し、国際社会の視線が厳しくなっているという現実がある。
中国のエネルギー効率を上げて環境負荷を減らすため、日本から中国への省エネ技術の供与なども打ち出された。
<英会話/ディスカッション:中国への省エネ技術移転>
中国は現行5カ年計画で単位国内総生産当たりのエネルギー消費量を10年までに20%削減する目標を掲げている。
小泉純一郎前首相の靖国神社参拝で悪化していた日中関係は、昨年10月の安倍首相の電撃訪中が転機となって修復へと向かい始めたように見える。
《「靖国参拝問題」について英会話/ディベート》
温首相は昨年の安倍首相の訪中を「氷を割る旅」と形容し、自らの訪日について「融氷の旅にしたい」と意欲を見せていた。
今回は、戦略的互恵関係の経済面での具体化を先行させる格好となった。
棚上げになった政治的懸案に向き合うには、98年の江沢民国家主席以来途絶えている中国トップの訪日による信頼醸成が必要かもしれない。
[「日中間の信頼醸成の必要性」を英会話のトピックとして]
安倍首相は年内再訪中を表明するとともに、胡錦濤主席の来年早期の来日を招請した。
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