4日、国際原子力機関(IAEA)緊急理事会はイランの核開発問題を国連安全保障理事会へ付託する決議案を賛成多数で採択した。
これにより初めてイランの核問題が安保理で議論されることになり、イランに対する外交圧力は一層強まった。
[「イランの核問題をめぐる動き」を英会話のトピックとして]
IAEAから安保理への付託は、91年のイラク、93年、94年、03年の北朝鮮などに次ぎ7例目となる。
<英語記事:安保理付託>
イラクに対しては安保理が非難決議を繰り返し、03年に米国などが開戦に踏み切った。
北朝鮮には安保理として制裁は科さなかった。
付託を受けた国連安保理は対応を協議することになるが、エルバラダイ事務局長が提出予定のイラン核問題に関する包括報告書を討議する3月6日のIAEA定例理事会まで制裁などの論議を先送りする。
それまでの1カ月間は、関係国が外交解決を模索するための「猶予期間」となる。
[「猶予期間の設定」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
安保理付託決定を受け、イラン政府は同日、ウラン濃縮に向けた活動を再開すると表明、5日には、IAEAによる核施設への抜き打ち査察を認めた追加議定書の暫定適用を停止したと発表し、強硬姿勢を維持した。
《「IAEA追加議定書」について英語にて解説》
イラン政府が強気の姿勢を崩さない背景には核開発に対する国民の支持がある。
《「イラン強気の背景」について英会話》
平和利用目的の核開発はイランの当然の権利との認識が国民の間に広まっているため、欧米が核問題で圧力をかければかけるほどイランのナショナリズムを煽ることになり、それがアハマディネジャド政権の浮揚につながっている。
一方で、イランはロシアでの濃縮案を16日に同国と協議すると表明した。
これはイランが原子炉で使用する核燃料を製造するために、ウラン濃縮をイラン国内ではなくロシアの施設で実施する構想で、イランが核爆弾の製造に直結する濃縮技術を取得するのを阻止するのが狙いだ。
<英会話/ディスカッション:ウラン濃縮と核兵器製造>
このロシアによる濃縮代行案が今後の外交解決の軸となる。
ただ、イランはロシアでの濃縮とは別に自国内での濃縮実験の実施を要求しているが、これにロシアは難色を示している。
イランは同国初の原子力発電所をロシアの支援を受けて南部のプシェールに建設していることから、ロシアの意向を無視できないとみられる。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
3月のIAEA理事会までに制裁回避に向けた妥協が成立せず、外交解決の道が閉ざされた場合、安保理は制裁論議入りを検討することになる。
ただ、常任理事国のうちイランへの強硬措置に消極的なロシアや中国は、安保理付託には譲歩しても、制裁には反対する可能性が高い。
《「ロシアと中国の思惑」に関して英語記事》
原油や天然ガスの主要供給国であるイランへの制裁は、「世界のエネルギー市場に極めて大きな打撃となる」とロシアは警告している。
米国や欧州にとってもエネルギー価格の高騰は無視するわけにはいかない。
<英語論説:イラン情勢の緊迫化による世界経済への影響>
イランの強硬姿勢は原油価格の高騰を背景に国際社会が禁輸などの制裁には踏み込めないとの読みもあるためと考えられる。
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