8日、フランス政府は若者による暴動が拡大していることを受け緊急閣議を開き、非常事態法の発動を決めた。
同法の発動により、9日から県知事は指定区域内での夜間外出を禁止できるほか、礼状なしの家宅捜査などが可能になる。
《「非常事態法」に関して英会話/ディスカッション》
政府が強権発動に踏み切ったことで、仏国内の暴動は新たな局面を迎えることになった。
仏の非常事態法はアルジェリア独立戦争を機に、1955年に制定された。
<英語にて解説:アルジェリア独立戦争>
これまで非常事態宣言は制定直後のアルジェリアや85年にニューカレドニアの独立運動に対して出されたが、本土では極めて異例のことだ。
先月27日にパリ郊外のクリシースボワで起きた事件が暴動の直接のきっかけとなった。
アラブ系の17歳とアフリカ系の15歳の少年2人が、警察に追われていると勘違いして変電施設に入り込み感電死した。
これに反発した若者らが自動車などに放火を始めた。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
暴動は各地に飛び火し、今月7日には、パリ市北郊のセーヌ・サン・ドニ県に住む60歳代の男性が暴徒に襲われ死亡した。
《「飛び火」について英語表現の工夫》
6日夜から7日朝にかけては暴動発生以来最悪となる自動車約1400台が放火され、逮捕者も400人近くに上った。
暴動に参加している若者の多くは北アフリカの旧仏植民地からの移民であるイスラム教徒の家庭に育ったとみられている。
[「北アフリカの旧仏植民地」を英会話のトピックとして]
このため、ドビルパン首相はイスラム教指導者らと協議、在仏イスラム教団体も、暴動の参加者らに自制を呼びかけている。
また、暴動初期にはイスラム過激派の扇動を示唆する政治家もいたが、イスラム過激派の影響は薄いとの見方が大勢だ。
99年の国勢調査によると、仏国内に居住する移民は人口の7%強を占め、移民の2世、3世を含めると4分の1近くに達する。
〔英会話表現による言い換え〕
内訳では、アルジェリア、チュニジア、モロッコの「マグレブ3国」の出身者が南欧出身者を上回り最も多い。
移民の多くは「バンリュー」と呼ばれる大都市の郊外に住んでいる。
60〜70年代、大都市郊外に低所得者向けの集合住宅が次々と建設され、そこに移民が大量に入居した。
しかし、移民の支援団体への助成が緊縮財政で削られ、「郊外の荒廃」が進んだ。
《「郊外の荒廃」に関して英語論文》
仏国立統計経済研究所(INSEE)によると、04年の移民の失業率は25〜39歳で21.0%と移民以外の9.4%より2倍以上も高い。
雇用差別が横行しているという。
世帯年収も1万ユーロ(約140万円)強と大都市平均の約6割にとどまる。
暴動の背景には移民の貧困や失業問題がある。
<英会話/ディスカッション:移民の貧困や失業問題>
このため、政府は都市郊外の移民に焦点を当てた貧困・失業対策を打ち出した。
仏の移民政策は、英の多文化主義とは対照的に同化主義を原則にしてきた。
[「仏の移民政策」を英会話/ディベートのテーマとして]
移民地区に住む若者たちは名前や肌の色での差別に遭い仏社会で疎外感を深めている。
仏の移民同化政策は厳しい試練に直面しているといえる。
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