27日、パレスチナ自治区の国会に相当する評議会選挙で、選挙初参加のイスラム原理主義組織ハマスが半数を超す76議席を獲得し、与党ファタハを破って第1党になった。
<英語にて解説:パレスチナ自治政府の仕組み>
イスラエルを否定しテロを繰り返してきたハマスの勝利で、中東和平に向けた動きが後退するとの懸念が広がっている。
ハマス勝利の主な要因としては、故・アラファト議長の下で自治政府を独占してきたファタハの腐敗がある。
ファタハには援助資金の流用など汚職疑惑が絶えない一方、住民の生活は一向に改善されなかった。
《「ファタハの腐敗」について英会話》
また、イスラエルとの和平交渉も、アッバス議長就任時には関係改善への期待が高まったものの、中断されたままだ。
イスラエルのオルメルト首相代行は、ハマス勝利を受けて対応を協議するため緊急関係閣僚会議を開いた。
ハマスが武力闘争を放棄し、同国の存在を認めるなど完全に方向転換しない限り、イスラエルはハマス主導の自治政府との和平交渉には応じないものとみられる。
[「今後のイスラエルの対応」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
ブッシュ米大統領は、選挙結果自体については民主主義の力を示すものと受け入れる姿勢を見せたが、ハマスに対し、イスラエルとの共存を認め、武装解除をするよう求めた。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
欧州各国でも、ハマス勝利を憂慮する声が相次いだ。
ハマスが明確に路線転換しなければ、米国や欧州連合(EU)からパレスチナへの財政的支援が大幅に減る恐れがある。
ただ、自治政府は年間予算の半額以上を国際社会からの援助金に頼っているため、全面的な支援停止ということなれば行政機能が麻痺し、自治区が混乱するのは確実だ。
<英会話/ディベート:経済援助の打ち切り>
ハマスは、自治区を拠点とする「国内組」とシリアを拠点とする「国外組」に分かれている。
国内組にはより穏健な政治部門とテロの実行部隊である軍事部門がある。
軍事部門は国外組が直轄している。
《「ハマスの権力構造の複雑さ」に関して英語記事》
国内組の政治部門は、自治区内の学校や病院などの施設を運営し、社会福祉活動を行っている。
自治区住民の生活に密着した問題で実績をあげてこなかったファタハとは対照的だ。
パレスチナ民衆の生活向上への寄与も、ハマスへの支持を広げることになった。
[「ハマスの慈善活動に対する民衆の支持」を英会話のトピックとして]
今回の評議会選での勝利の結果、政治部門がハマス内部での主導権を握ったという見方もある。
一方、ハマス最高指導者ハレド・メシャル氏が率いる国外組は資金調達力を強みとしている。
現在の資金源はイスラエルとの和平を望まないイランで、その影響力は無視できない。
<英会話/ディスカッション:イランのハマスへの影響力>
軍事部門は、政治部門の指揮系統から外れており、主導権をとったとされる政治部門にとってテロを抑えることができるかは大きな課題だ。
中東情勢は今年に入って大きく変化した。
イスラエルではシャロン首相が脳出血で倒れ、パレスチナではファタハが指導的地位から転落し、和平交渉の当事者双方が交代したことになる。
中東和平は新しい段階に入ったと認識すべきだろう。
《「中東和平の行方」について英語論説》
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