6日、フランス大統領選の決選投票が行われ、即日開票の結果、右派の与党・国民運動連合(UMP)のニコラ・サルコジ前内相が、初の女性大統領を目指した社会党のセゴレーヌ・ロワイヤル元環境相を破って当選した。
《「国民運動連合」について英語にて解説》
大統領交代は95年の現職ジャック・シラク氏の就任以来12年ぶりとなる。
仏内務省が公表した暫定開票結果によると、サルコジ氏の得票率は53.06%で、ロワイヤル氏の46.94%を6%以上も上回った。
[「予想外の大差」を英語記事のトピックとして]
ともに戦後生まれの両候補が激突、若返りや新顔対決に関心が高まり、投票率は83.97%と88年以来の高さだった。
記録的に高い投票率は仏国民の焦りの表れでもある。
国民は、経済のグローバル化の大波が押し寄せる中、このままでは世界の大国の座から転落しかねないという危機感を抱いている。
<英会話:仏国民の危機意識>
社会制度に関して保守的とされる仏国民も、今回の大統領選では、サルコジ氏が掲げる競争重視の構造改革を支持した。
選挙の焦点となった雇用政策について、サルコジ氏は「もっと働き、もっと稼ごう」のスローガンを掲げて週35時間労働規制の事実上の撤廃などを主張した。
同氏は、雇用創出を目的として導入された週35時間制が競争力強化の妨げになっているとみている。
《「週35時間労働制」について英会話/ディベート》
失業率は依然として8%台と高く、若年層では20%を超える。
移民問題では、移民に仏語習得を義務づけるなど流入選別の強化を繰り返し表明した。
アフリカ系移民らの同化政策の失敗が高失業率や治安悪化を招いたとの認識がある。
[「仏の移民同化政策」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
また、内相として不法入国や犯罪に対して強硬姿勢を鮮明にしてきた。
外交では、かねて「米寄り」の発言で際立っており、米国にはサルコジ氏の親米路線がイラク戦争を機に悪化した米仏関係の改善につながるとの期待がある。
《「イラク戦争で冷え込んだ米仏関係」に関して英語記事》
だが、当選後は「友人が違う考えを持つのを認めるのも友好だ」と述べ、多極主義路線の継承を強調した。
欧州との関係では、発効のめどがたっていない欧州連合(EU)憲法を簡素化させ、批准手続きを進めると公約している。
フランスは05年の国民投票でEU憲法の批准を否決した。
<英語論説:EU憲法批准否決の背景>
EUや欧州各国はサルコジ氏の当選に、統合の流れが再び動き出すことへの期待をかけている。
選挙結果に反発する若者らが6日深夜、パリやリヨンなどで投石や抗議デモを行い、警官隊と衝突した。
パリ近郊では百台以上の車が放火されたようだ。
サルコジ氏は、05年秋の都市郊外での暴動の際、荒れる若者を「社会のくず」とののしって事態を混乱させた経緯がある。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
フランスはこれまで、労働者への手厚い保護と高度な福祉を誇りとしてきた。
サルコジ氏の勝利で、英国やドイツに続いて、フランスも国家主導から自由主義へと経済政策のかじを切ることになった。
サルコジ氏は16日に新大統領に就任、経済活性化へ向けてスピード改革を目指す。
《「改革路線の行方」に関して英会話/ディスカッション》
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