オランダのハーグで開かれていた気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)は25日、COP3で採択された「京都議定書」の詳細なルールを決めるため非公式の閣僚折衝を続けていたが、合意を得られずに幕を閉じた。
[「京都議定書」を英会話のトピックとして]
先進国の温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書には、削減義務をある程度緩和する柔軟性措置が盛り込まれている。
《「柔軟性措置」に関して英語にて解説》
国家間で排出量を売買する(排出量取引)、途上国で排出削減に協力した分を先進国が自身の削減量に組み込む(クリーン開発メカニズム)、森林による二酸化炭素(CO2)吸収量を削減量に算入する、といった仕組みである。
閣僚折衝は、議長を務めたブロンク・オランダ環境相が23日に示した調停案をもとに話し合いが行われたが、柔軟性措置の運用を巡る日米と欧州の溝は深く、交渉は難航した。
CO2などの排出削減は、産業界にコストの負担を強いることになる。
企業の国際競争力への影響も大きいため、各国とも容易には譲れなかったようだ。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
最大の壁となったのはCO2の森林吸収の扱いだった。
<英語論文:CO2の森林吸収>
森林吸収量を最大限排出削減量として認めさせようとする日本や米国と、厳しい制限を求める欧州が激しく対立した。
ブロンク議長の調停案は、森林のCO2吸収量の見積もりを厳しくするというものだったが、日米とも強硬な姿勢を崩さなかった。
CO2排出量の取引などについても、日米と欧州は対立した。
調停案が日米の主張に沿う形で排出量取引などの利用を無制限に認めたため、上限の設定を主張する欧州が反発した。
[「排出量取引」を英会話/ディベートのテーマとして]
議長調停案は、欧州と日米の双方から拒否される結果となった。
さらに、途上国の主張が交渉を複雑にした。
先進国が途上国への温暖化防止技術の移転など支援活動を十分に実施していないとして、援助基金の設立を求めた。
<英語表現の工夫:温暖化防止技術の移転>
議長も巨額の基金案を提示すると、財政事情の苦しい先進国側が難色を示した。
日本は今回のCOP6で、先進国による途上国での原発建設を温暖化対策として認めるよう主張したが、原発は「クリーン開発メカニズム」の適用対象から外すべきだとの意見が大勢を占めた。
《「原発による温暖化対策」について英会話/ディスカッション》
放射性廃棄物の処理やプルトニウム管理の難しさなど、環境への悪影響に対する懸念が大きな理由だ。
地球の温暖化を防ぐという議定書の理念が経済的利益の衝突の中に埋没してしまったことに、環境NGOは危機感を抱いている。
〔英会話表現による言い換え〕
温暖化の影響が切実な途上国にも失望感が広がっている。
「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)によると、来世紀中に海面が50センチ上昇し、約2億人が移住を迫られるという。
先進国は当初、京都議定書を92年に開かれた「地球サミット」から10年後の02年に発効させることを目指していた。
今回、合意に失敗したことで議定書の早期発効は難しい情勢となった。
<英会話:議定書の発効の見通し>
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