11日、来年度中に「食品安全委員会」(仮称)を設立する方針が正式に決まった。
昨年9月のBSE(牛海綿状脳症)発生以降、食をめぐる不祥事が相次ぎ、消費者の不信が深まる中で、「食の安全」への信頼を取り戻す役割を担うことになる。
《「食の安全」について英会話/ディベート》
新設される委員会は、食品の健康への影響を科学的に評価し、厚生労働省や農水省に適切な措置を勧告し、実施状況をチェックする。
[「食品の健康への影響」を英語論文のテーマとして]
既存官庁からの独立性を持たせるため内閣府に設置する。
委員会本体は数人の科学者ら専門家で構成される。
委員会の設立にあわせて、農水省の外局である食糧庁を廃止し、農水・厚労両省とも組織再編に踏み切る。
《「省庁再編」に関して英語にて解説》
この日は、消費者保護を基本とした包括的な食品の安全を確保するための「食品安全基本法」(仮称)を制定することも確認された。
今回の決定に至る直接の契機となったのは、政府のBSEへの取り組みの失敗だった。
今年4月、厚労相と農水相の私的諮問機関である「BSE問題に関する調査検討委員会」は、これまでの行政対応を検証し、今後の食品安全行政のあり方について、消費者重視の食品行政を進めるための新法の制定と、食品の安全性の評価を行う新機関の設置を提案した。
[「今後の食品安全行政のあり方」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
これを受けて政府は、「食品安全行政に関する関係閣僚会議」を開催し、協議を重ねていた。
今後、食品安全行政は、食品安全委員会が食品のリスク評価を行い、リスク管理にあたる関係各省が評価結果に基づいて規制などの行政措置を行うという役割分担の下に進められることになる。
<英語表現の工夫:リスク評価、リスク管理>
リスクを評価する組織とリスクを管理する組織を分離するのは最近の欧州のやり方である。
《「欧州の食品行政」について英語論説》
これにはリスク評価から政策的配慮を排除する狙いがある。
日本ではこれまで評価と管理を同じ役所が担当していた。
そのため、国際機関が日本でのBSE発生の危険性を警告していたにもかかわらず、政府の対応が遅れ、発生を防げなかったとの反省がある。
委員会が実効性のあるものになるかは、真の独立性を確保できるかにかかっている。
実務を担う事務局は農水、厚労両省出身者が中心となる見通しだ。
職員が出身省の意向を受けて動く可能性は否定できないとの指摘もある。
<英会話/ディベート:委員会の独立性>
委員会が、両省の影響力から離れて独自の判断を貫くのは決して簡単なことではないだろう。
その意味では情報収集能力の面で懸念が残る。
科学者中心の新委員会は、国内外の研究情報を収集する上では強みを発揮できても、生産現場の情報に関して多くを農水省などに頼ることになる恐れがある。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
各省との適度な距離を保つためには、消費者とのコミュニケーションを強化することも欠かせない。
[「消費者とのコミュニケーション」を英会話のトピックとして]
BSE発生前後の行政の対応の不透明さが消費者の不信を増幅させた。
消費者と意見や情報の交換を行いながら進めていくことができるかどうかも今後の食品安全行政のかぎを握ることになる。
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