26日、クリントン米大統領はホワイトハウスで記者会見し、米バイオベンチャー企業のセレラ・ジェノミクス社と、日米欧の国際研究グループがそれぞれ「人間の設計図」であるヒトゲノムの解読作業をほぼ完了したと宣言した。
《「ヒトゲノム」について英会話》
人間の遺伝情報は、各細胞の核の中にあるデオキシリボ核酸(DNA)に記録されている。
<英語にて解説:DNA>
DNAはアデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という4種類の化学物質(塩基)が約30億個並んでできており、ゲノムとは全塩基の配列、つまりATGCの文字列を指す。
人間の全遺伝情報の解明を目指すヒトゲノム計画は、人類を月に送り込んだ「アポロ計画」にも匹敵する巨大プロジェクトだ。
〔英会話表現による言い換え〕
1990年ごろから、日米欧など6カ国の大学や国立研究機関が国際共同プロジェクトとして発足させた。
一方、2年前に設立されたセレラ社は、昨秋、ゲノム解読に参入した。
《「セレラ社のゲノム解読参入」に関して英語論説》
同社は大量の解析装置とコンピューターを駆使し、国際プロジェクトが公開したデータも利用して、わずか9カ月あまりで解読を終えた。
国際プロジェクトは当初05年までの解読完了を目標に掲げていたが、解析装置の性能の大幅な向上や独自の解読手法を使ったセレラ社の追い上げにあい、目標を03年に前倒して解読作業を加速させた。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
その間に公表した解読データをもとに病気の原因となる遺伝子が新たに見つかるなど、官民競争によって遺伝子研究は急速に進むことになった。
セレラ社は解読データを製薬企業に有料で提供するビジネスを展開している。
これに対し、ヒトゲノムを「公共財」と位置付け、データの無償公開を進めてきた国際研究グループは強く反発、両者の対立が続いてきた。
<英語表現の工夫:公共財>
ヒトゲノムの解読は画期的な新薬や治療技術を生み出す足がかりとなり、医療に革命的進歩をもたらす可能性がある。
[「ヒトゲノムの解読の可能性」を英会話/ディスカッションのトピックとして]
病気の原因遺伝子が特定できれば、そうした遺伝子の働きを抑えることによる治療が可能になると期待されている。
製薬企業はすでにヒトゲノムの解読を見越した新薬の開発に乗り出しており、日本を含め世界の大手製薬がセレラ社をはじめゲノムベンチャー企業と相次いで提携するなど、遺伝子ビジネスが急速に拡大している。
<英語論文:遺伝子ビジネス>
ゲノム解読で先行したセレラ社は特許を次々と仮出願している。
現在、遺伝情報の特許の扱いは不透明なままだ。
《「遺伝情報の特許」に関して英会話/ディベート》
そのため、主要8カ国(G8)は来月の九州・沖縄サミットの首脳宣言で、遺伝情報を特許として認める基準を国際的に調整する作業を急ぐよう提起する方針を固めている。
遺伝情報は究極のプライバシーといわれる。
個人の遺伝情報保護など新しいルール作りが必要になるのは確実だ。
また、遺伝情報を就職や結婚の際の判断材料にする動きが米国などでは出ているという。
遺伝情報を悪用した差別を禁止する法律の整備も欠かせない。
<英会話/ディスカッション:遺伝情報による差別>
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