欧州単一通貨ユーロの紙幣・硬貨の流通が1日からユーロ圏12カ国で始まる。
人口は約3億人、域内総生産(GDP)でも米国に迫る規模の単一市場が誕生する。
[「巨大単一市場の誕生」を英会話のトピックとして]
欧州連合(EU)15カ国のうちユーロを採用するのは、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、オーストリア、フィンランド、アイルランド、ギリシャの12カ国。
英国、デンマーク、スウェーデンの3カ国はユーロへの参加を見合わせている。
《「ユーロ不参加国の事情」に関して英語記事》
1日から流通するユーロ現金は、5ユーロから500ユーロまでの7種類の紙幣と、1ユーロセントから2ユーロまでの8種類の硬貨。
総額は約6487億ユーロ(約75兆2000億円)に達し、史上最大の通貨切り替えとなる。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
ほとんどの国は2月28日までを移行期間とし、旧通貨とユーロの交換を進める。
戦後ドイツ繁栄の象徴だった独マルクや、600年の歴史を誇る仏フランなど各国の旧通貨は約2ヶ月間で姿を消すことになる。
《「旧通貨の消滅」について英会話》
欧州で単一通貨構想が具体的に動き出したのは、当時のドロール欧州委員会委員長が3段階からなる通貨統合計画を提示した89年からだ。
[「単一通貨への動き」を英語論説のテーマとして]
第1段階が開始された90年7月から、資本の移動の完全自由化など、域内の市場統合が促進された。
93年11月には単一通貨の導入について具体的に定めたマーストリヒト条約が発効した。
94年1月から第2段階に入り、欧州通貨機構(EMI)が創設され、マクロ経済政策の協調強化が図られた。
95年の欧州理事会で単一通貨の名称として「ユーロ」が採択され、単一通貨へ切り替えるためのスケジュールが最終決定された。
EU加盟各国は過剰な財政赤字の削減とユーロ導入の条件として定められた「経済収斂基準」の達成に取り組んだ。
<英語にて解説:経済収斂基準>
98年、加盟国首脳は、収斂基準および前年の経済データに基づいて当初からのユーロ参加国を決定した。
通貨統合の完成となる第3段階が99年1月からスタート、11カ国で単一通貨ユーロが導入された。
同時に欧州中央銀行(ECB)による統一的金融政策が開始された。
ギリシャは当初基準を満たせず、遅れて01年1月からユーロに参加した。
《「ギリシャのユーロ導入」について英会話/ディスカッション》
ユーロは99年1月1日から銀行間決済など非現金取引を対象に導入され、それ以降、目に見えない帳簿上の通貨だった。
実際にユーロが市中に出回ることは、市民の意識や社会全般への影響という意味では、3年前に勝る変化となる。
〔英会話表現による言い換え〕
EUのプロディ委員長はユーロ流通を前にした記者会見で、「欧州人のアイデンティティーが作られる」とその意義を強調した。
[「ユーロ流通の意義」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
確かに、ユーロの流通は欧州の経済統合を一層推し進めるだけではない。
だれもが同じお金を使うようになれば、「欧州」というものの一体感をいやでも実感することになるだろう。
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