国連安全保障理事会は24日午後、ウラン濃縮活動の停止に応じないイランへの追加制裁決議案を全会一致で採択した。
イランへの制裁決議は昨年12月に続いて2回目である。
《「06年12月の制裁決議内容」について英語記事》
国際社会が結束して、イランに対する圧力を段階的に強化する形となった。
イランの核開発疑惑は02年に発覚した。
<英語にて解説:イランの核問題をめぐる動き>
安保理は06年2月、国際原子力機関(IAEA)からの付託を受けて協議を開始し、3月に議長声明、12月には初の制裁決議を採択した。
しかし、今年2月下旬のIAEAのエルバラダイ事務局長の報告によってイランのウラン濃縮活動の継続・拡大が確認されたため、今月に入って追加制裁協議を再開していた。
決議は、イランに対して改めてウラン濃縮活動の即時停止を求めた上で、新規の制裁措置として(1)イランによる武器輸出の全面禁止(2)加盟国に対し、イランへの大型通常兵器輸出の警戒と自制を要請(3)加盟国や国際金融機関に対し、イラン政府への新規の資金援助や融資の見合わせを要請−などを盛り込んでいる。
[「追加制裁措置の効果」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
前回決議に添付された資産凍結対象の団体・個人リストには、アフマディネジャド・イラン大統領の出身母体である革命防衛隊の関連企業3社と幹部7人を含む13団体・15人が追加された。
《「イランへの経済的打撃」に関して英会話/ディベート》
また、核開発に関わるとみられる個人の渡航規制が強化された。
前回同様、60日以内にイランの順守状況を安保理に報告するようIAEAに求めるとともに、期限内にイランがウラン濃縮活動を停止しない場合は追加措置を取ると警告している。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
今回の決議には、昨年6月にイランに提示された「包括見返り案」が添付文書として盛り込まれた。
ウラン濃縮活動停止と引き換えに、核の平和利用の技術協力や燃料提供を保証した提案だ。
<英語記事:イランへの包括見返り案>
ただし、現時点ではイランが交渉に応じる可能性は低い。
今回の決議案交渉では、常任理事国とドイツの6カ国が合意し、英仏独が共同提出した決議案に対し、非常任理事国の南アフリカ、世界最大のイスラム教国インドネシア、カタールが最後まで修正を求めた。
《「非常任国の抵抗」に関して英語論説》
南アフリカは対イラン制裁措置の90日間停止などの大幅修正を提案した。
また、インドネシアは、核保有国イスラエルを念頭に、中東における「非大量破壊兵器(WMD)地帯」の設置に言及するよう要求し、カタールが同調した。
<英会話/ディスカッション:中東非WMD地帯の設置構想>
結局、全会一致での採択を望む常任理事国側が歩み寄り、非常任理事国の一部要求を受け入れ、全会一致が保たれた。
アフマディネジャド大統領の代わりに出席したイランのモッタキ外相は採択後、「決議は違法かつ不要で正当化できない」と非難した上で、「ウラン濃縮活動停止という選択肢はない」と断言した。
全会一致で採択された決議を即座に拒否したことで、イランの国際社会からの孤立が鮮明になった。
[「イラン強硬姿勢の背景」を英会話のトピックとして]
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