8日、米中間選挙での共和党敗北の結果を受けて、ブッシュ大統領はラムズフェルド国防長官の辞任を発表した。
敗因となった現在のイラク政策の責任を取らせた事実上の更迭である。
<英会話/ディスカッション:国防長官更迭によるイラク戦略への影響>
後任にはロバート・ゲーツ元中央情報局(CIA)長官を指名した。
7日に投開票された中間選挙は、上下両院で民主党が94年以来12年ぶりに過半数を獲得した。
事前の世論調査でイラク情勢に高い関心を示していた有権者が、イラク政策の現状維持を訴えた大統領に「ノー」を突きつけた形だ。
《「有権者のイラク情勢への高い関心」について英会話》
歴史的な勝利を手にした民主党も「変化」への重い期待を担うことになった。
イラク情勢は混迷が深まっている。
5月にマリキ本格政権が発足したものの、イスラム教の宗派間の対立が激化。
武装勢力の攻撃件数は10月にイラク戦争開戦後で最高を記録し、1日百人前後のイラク人が殺害されている。
米兵死者数も開戦以来、2千8百人を超えた。
《「イラク情勢の悪化」に関して英語記事》
緊急会見でブッシュ大統領は、中間選挙について「国民の多くが、イラク情勢が進展しないことに不満を表明した」と述べ、今後は選挙でイラク政策の路線変更を掲げた民主党とも協力してイラク問題に「超党派的な手法」で取り組む考えを明らかにした。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
ラムズフェルド氏は01年のブッシュ政権発足時から国防長官を務め、同年9月11日の同時多発テロ後、アフガニスタンの当時のタリバーン政権と国際テロネットワーク・アルカイダに対する対テロ戦争、03年からのイラク戦争を指揮してきた。
<英語にて解説:イラク戦争をめぐる主な動き>
企業経営の経験もある長官は、米軍のハイテク化とスリム化を進める「軍の変革・再編(トランスフォーメーション)」路線も主導してきた。
《「長官が推進した米軍再編」に関して英会話/ディスカッション》
だが、イラク戦争では、駐留米軍の規模をめぐって軍部と対立した。
米兵の犠牲者が増えるにつれて、軍内部ではおごりともとれる長官の指揮ぶりに対して不満がくすぶり続けた。
今年に入って、内戦寸前という状況になっても、規定路線の変更は不要との姿勢を崩さず、政権批判の的になってきた。
複数の退役将軍が辞任要求を表明し、中間選挙直前の4日、国防専門4紙が共同社説で辞任を求めるなど、辞任圧力が高まっていた。
[「長官への辞任圧力の背景」を英語論説のテーマとして]
共和党のベーカー元国務長官と民主党のハミルトン元下院議員が共同議長を務める、超党派の諮問機関「イラク研究グループ」は現在、包括的な政策見直しを進めており、近く提言を発表する。
次期国防長官に指名されたゲーツ氏は研究グループのメンバーであることから、この提言は新体制の国防総省の政策に生かされる可能性が高い。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
提言には、イラク駐留米軍の段階的撤退や、武装勢力を支援しているとされるイランやシリアとの対話が盛り込まれる見通しだという。
《「イラク研究グループの提言内容」について英会話/ディベート》
ブッシュ政権は、提言にも耳を傾けつつ、イラク政策の転換を図らない限り、現在の袋小路から抜け出すことはできないだろう。
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