19日、タイで軍部内の反タクシン首相派によるクーデターが起きた。
《「軍事クーデター」について英会話》
午後9時過ぎ、首都バンコクの首相府を戦車が包囲し、周辺を封鎖した。
国連総会出席のためニューヨーク滞在中のタクシン首相は非常事態宣言を発令したが、陸海空軍と警察の司令官らから構成される「民主改革評議会」が発足、午後11時、評議会はテレビを通じて「実権を掌握した」と宣言した。
今回、クーデターを主導したのはソンティ陸軍司令官で、その背後には元首相のプレム枢密院議長がいる。
プレム議長は軍トップを歴任した後首相を8年間務めた。
軍への影響力は絶大で、プミポン国王の信任も厚い。
ここにきて反首相色を鮮明にしていた。
[「タクシン首相の孤立」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
通信事業で巨富を築いたタクシン氏は98年、「タイ愛国党」を創設した。
《「タクシン氏の略歴」について英語にて解説》
01年、新憲法下初の総選挙で愛国党が議席のほぼ半数を獲得し、連立による第1次タクシン政権が発足した。
05年の総選挙では愛国党が圧勝し、タイ初の単独政権となる第2次政権がスタートした。
今年1月、首相一族が保有する通信グループ株式をシンガポールの会社に売却した際、課税逃れ疑惑が浮上、首相への批判が高まった。
<英語記事:首相一族の株売却疑惑>
2月4日にはバンコクで5万人規模の退陣要求集会が開かれ、24日、首相は事態打開を目指して下院解散に踏み切った。
その後も大規模な反首相集会が開かれる中、4月2日に総選挙が実施されたが、主要野党はボイコットした。
3日、首相は総選挙で自ら信任ラインとする過半数を獲得と発表したが、4日、プミポン国王に謁見後に退陣を表明した。
国王が「今回の総選挙は非民主的」と選挙の妥当性に疑問を呈すると、5月8日には憲法裁判所が総選挙を無効と決定、選挙のやり直しが確定した。
《「タクシン政権をめぐる動き」に関して英会話/ディスカッション》
その後、やり直し選挙の投票日は10月15日に確定したが、ここにきて延期が確実な情勢となった。
また、首相が4月の退陣表明を撤回するような発言を繰り返すなど、政局が再び混乱する懸念が高まっていた。
[「政局の混迷ぶり」を英会話のトピックとして]
20日には首相退陣を求める市民団体が3月以来の大集会の開催を計画していた。
タクシン首相をめぐっては、8月24日に「暗殺未遂事件」が発覚したほか、国内では9月になってクーデターのうわさが急速に広まっていた。
《「暗殺未遂事件の経緯」について英語記事》
首相は9日以降、就任以来最長の外遊に出ており、軍は首相の不在を突いてクーデターを起こしたとの見方もある。
タイでは政治危機が深まるたびに軍のクーデターによる政権交代が繰り返されてきた。
92年には軍事政権と市民が衝突して多数の死者が出たが、この「5月流血事件」を踏まえて現在の憲法が制定され、経済成長とともに民主化も進展し定着してきていた。
<英語論説:タイの民主化の行方>
首相一族の株売却疑惑に端を発する政局の混乱が8カ月も続いていたが、今回のクーデターでタイの政局は重大な局面を迎えることになった。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
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