14日にパレスチナ自治区のガザとヨルダン川西岸に非常事態を宣言し、イスラム原理主義組織ハマスのハニヤ首相率いる連立内閣を解散した自治政府のアッバス議長は15日、非常事態内閣の首相にファイヤド前財務相を指名した。
《「アッバス議長による非常事態宣言」に関して英語記事》
一方、ハマスは議長の決定を拒否しているため、ハマスが実権を握るガザと議長の率いるファタハが本拠とする西岸の分裂が決定的な情勢となってきた。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
ハマスとファタハの抗争の発端は、06年1月のパレスチナ自治評議会選挙でハマスがファタハを破ったことだ。
[「評議会選でのハマスの圧勝」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
同年3月にハマスの単独内閣が発足し、ハマス幹部のハニヤ氏が首相に就任した。
これを受け、米国や欧州連合(EU)は4月、ハマスに対してイスラエルの承認と武装闘争の放棄を迫る形でパレスチナ自治政府に対する援助停止を発表した。
ハマス内閣が発足して1カ月もたたないうちに、治安権限の掌握をめぐってハマスとファタハの対立が顕在化した。
ハマスは5月、議長の反対を無視して独自の治安部隊を創設、以後、ファタハ系の自治政府治安部隊と衝突を繰り返した。
《「ファタハとハマスをめぐる動き」について英会話》
今年に入ると2月に、サウジアラビアの呼びかけでハマスの政治部門最高指導者メシャール氏とアッバス議長がメッカで会談し、連立政権樹立で合意(メッカ合意)、3月にはハマスとファタハによる連立内閣が発足した。
<英語にて解説:メッカ合意の内容>
ところが、治安権限を巡る双方の対立は収まらず6月に抗争が本格化し、11日にはガザ地区で両派が激突、14日にハマスがガザ全域を制圧した。
アッバス議長は17日、ハマスを排除した新内閣を正式に発足させるとともに、ハマスの軍事部門を非合法化する議長令を出した。
米国とEUは、自治政府のアッバス議長と新内閣を支持する意向を表明、1年5カ月ぶりに経済援助を再開する方針を表明した。
《「米・EUによる新内閣への援助再開」に関して英会話/ディスカッション》
アラブ連盟は、ハマスのガザ制圧を「犯罪行為」と非難するとともに、ハマスとファタハに対し、今年2月の「メッカ合意」の尊重を求めた。
一方、イランはアッバス議長によるハニヤ首相解任について「選挙結果を重視すべきだ」と述べ、ハマス主導の内閣を支持する姿勢を示した。
<英語論説:イランのハマス支援>
イスラエルのオルメルト首相は「新内閣は和平のパートナーになりうる」と歓迎し、ハマス政権発足以来凍結している自治政府の関税収入の一部を解除する方針だ。
一方、イスラエルの石油会社がガザへの石油供給を中断、イスラエル軍がガザの物流の玄関口である検問所を封鎖するなど、ガザの封じ込めが進んでいる。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
ガザと西岸の分裂状態が長期化すれば、イスラエルは時期を見て西岸のファタハと単独和平に動く可能性がある。
そうなれば切り捨てられた形のガザのハマスが反発するのは必至だ。
ガザがこのまま孤立するようなことになれば経済状況が一層悪化し、イスラエルに対するテロが激化する恐れもある。
[「ガザの経済状況の悪化」を英会話のトピックとして]
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