12日午後、中国南西部の四川省で大地震が起き、同省のほか重慶市や陝西、甘粛、雲南各省など広い範囲に大きな被害をもたらした。
国営新華社通信によると、犠牲者は1万人を超えた。
さらに2万3000人以上が生き埋めになっているとの報道もある。
[「地震での生き埋め」を英会話のトピックとして]
震源は、四川省の省都・成都から北西に約150キロ離れたアバ・チベット族チャン族自治州ブン川県だ。
地震の規模はマグニチュード(M)7.8で、震源の深さは10キロと浅い。
大地震のエネルギーをより正確に示すモーメントマグニチュード(Mw)は7.9で、阪神大震災(Mw6.9)の約30倍になる。
《「モーメントマグニチュード」について英語にて解説》
中国は地震多発国だ。
1976年7月に河北省で起きた唐山地震(M7.8)は死者24万人を出し、20世紀で最大規模の被害地震として知られる。
<英会話/ディスカッション:地震多発国・中国>
特に内陸部では、90年代以降でも、青海省(90年、M6.9)、の雲南省(96年、M7.0)、新疆ウイグル自治区(03年、M6.8)などで大地震が発生している。
今回の地震の震源は、ユーラシアプレートとインドプレートという2枚の大陸プレートがぶつかる「衝突帯」に近い。
両プレートの衝突によってヒマラヤ山脈やチベット高原が隆起したことはよく知られているが、一方でひずみが蓄積されて巨大地震が多発している。
《「地震のメカニズム」に関して英語論文》
この地域には、北東から南西方向に300キロ以上も延びる「竜門山断層帯」がある。
この断層は過去にもM7級の地震を何度か引き起こしている。
今度の地震は、同断層帯の一部がずれて動いた可能性が高いとみられる。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
大きな地震が浅い所で起きると長周期地震動が生じやすいという。
震源からかなり離れた北京や上海などの高層ビルが揺れたのは、高層建築物が影響を受けやすい長周期地震動によるとみられる。
[「長周期地震動の影響」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
硬い地盤が広がっており、地震波が遠くまで伝わりやすかったようだ。
被害が拡大した背景には、経済成長が著しい沿海部と取り残された内陸部の格差という問題がある。
四川省の06年度の1人当たり域内総生産は上海の約5分の1に過ぎない。
<英語記事:内陸部経済の実情>
内陸部では交通や通信などインフラ整備が立ち遅れており、農村部では耐震性の低い石積みやレンガ積み家屋も多い。
地震発生後、温家宝首相は陣頭指揮をとるため直ちに被災地に駆けつけた。
中央テレビは温首相などが現場で奮闘する模様を繰り返し流し、当局の迅速な対応をアピールした。
北京五輪を控え、社会の大きな混乱を避けたいとの思いがあるのだろう。
《「当局の迅速な対応」について英会話》
被害が深刻な地区は3月に起きたチベット騒乱が波及した地域とも重なる。
チベット族の多い被災地で対応を誤れば、再び国際社会の批判を浴びることになりかねないとの判断もあったにちがいない。
北京五輪に向けて社会の安定化を目指す胡錦濤指導部にとって、四川大地震はチベット騒乱に続く新たな試練となった。
〔英会話表現による言い換え〕
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