1日にロシア南部の北オセチア共和国ベスランで起きた武装集団による学校占拠事件は、発生から約50時間後に事態が大きく動いた。
<英語記事:学校占拠事件をめぐる動き>
3日、ロシア特殊部隊が学校内に突入、銃撃戦となり、人質になっていた児童・生徒ら560人以上が負傷した。
《「世界の特殊部隊」について英会話》
人質の死者について治安当局は150人を大きく超えるとの見方を示した。
現地の対策本部によると、武装集団側との合意で、1日の襲撃の際に死亡した人たちの遺体を引き取るためにロシア側の医師らが校舎に入ったところ爆発が起き、人質が閉じ込められていた体育館の屋根が崩落。
爆発後、武装集団が銃撃を開始し、ロシア特殊部隊が突入した。
[「突入の経緯」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
突入は突発的なものだったことを対策本部は強調している。
最近ロシア国内ではテロ事件が相次いでいる。
《「最近のロシアの主なテロ事件」に関して英語記事》
8月24日にはモスクワ発の旅客機2機がほぼ同時刻に爆破テロで墜落、乗客乗員90人全員が死亡した。
31日にはモスクワ中心部の地下鉄駅付近で自爆テロがあり、10人が死亡した。
そして今回の学校占拠事件である。
多くのロシア国民が02年10月のモスクワ劇場占拠事件を想起したにちがいない。
このとき突入した特殊部隊は特殊ガスを使い武装集団を全員射殺したが、120人以上の人質の観客らも犠牲になった。
[「劇場占拠事件の結末」を英会話のトピックとして]
事件後、プーチン大統領はテロに屈しない姿勢を示したと評価され、支持率は跳ね上がった。
今回も似たような経過をたどったが、犠牲者の数は劇場占拠事件を上回り、しかもその中には多数の子供が含まれている。
また、逃走した武装集団のメンバーとの間で市街戦まで引き起こした。
大統領はこれまでテロへの強硬策で国民の支持を集めてきたが、今回ばかりは支持を得るのは難しいのではないか。
《「プーチン政権への影響」に関して英会話/ディベート》
約40人とみられる武装集団は、チェチェンからのロシア軍の撤退を要求しており、チェチェン独立派に属するものとみられる。
さらに、チェチェン武装勢力の中でも最強硬派の野戦司令官バサエフ派が実行した可能性が高いという。
そのため、ロシアのメディアは情報機関や保安機関によるテロ対策の不備を批判する論調が多い。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
バサエフ派は02年の劇場占拠事件、03年7月のモスクワの野外コンサート会場での自爆テロ、今年6月のイングーシ共和国の内務省襲撃、8月の旅客機爆破テロなど、最近の凶悪なテロ事件の多くに関与したとみられている。
<英語にて解説:バサエフ派のテロ活動>
チェチェン紛争は、独立派武装勢力がイスラム過激派との連携を深めるとともに、民族独立闘争からテロ戦争へと変質してきた。
<英会話/ディスカッション:チェチェン紛争の変質>
今回銃撃戦で死亡した武装集団のうち10人はアラブ人だという。
また、国際テロ組織アルカイダが資金面での支援をしたとの報道もある。
チェチェン紛争は出口の見えない泥沼化の様相を見せ始め、第2期プーチン政権にとって最大の脅威になってきた。
《「出口の見えない泥沼化」について英語表現の工夫》
テロの連鎖はいつまで続くのか。
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