13日、今年のノーベル平和賞が韓国の金大中大統領に贈られることに決まった。
韓国人がノーベル賞を受賞するのは初めてのことである。
<英語にて解説:アジア人ノーベル賞受賞者>
受賞理由としては、長く対立してきた朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への「太陽(包容)政策」を通じて朝鮮半島の緊張緩和を進めた実績が評価された。
《「太陽政策の成果」に関して英会話/ディスカッション》
これまで平和賞は、紛争や対立を克服した当事者双方に与えられることが多かったが、今回は金大統領の単独受賞となった。
また、強権的な政権の下で、長い獄中・亡命生活にもかかわらず、韓国の民主化に貢献した業績のほかに、アジア地域の人権を擁護したことや、近隣諸国、特に日本との和解に努力したことも認められた。
《「金氏によるアジアの人権擁護」について英語記事》
金大統領へのノーベル平和賞は、6月の南北朝鮮首脳会談と、その後の南北対話が進む中でもたらされた。
[「南北首脳会談の意義」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
今月12日には、米朝が朝鮮戦争以来の敵対的な関係を放棄するとうたった共同コミュニケを発表したばかりだ。
韓国政府は、今回のノーベル賞受賞によって、同国が進めてきた対北朝鮮政策が国際的に承認されたものと受け止めている。
朝鮮半島情勢が大きく変わる中で、今回の受賞を緊張緩和に向けた一層の追い風にしたいと考えているようだ。
<英語表現の工夫:追い風にする>
金氏は1961年に国会議員に初当選し政界に進出した。
71年、大統領選に初出馬し、当時の朴正煕大統領に惜敗した。
その後、米国と日本に事実上亡命して反政府運動を展開していた金氏は73年、東京のホテルで韓国中央情報部(KCIA)に拉致され、ソウルで5日後に解放された(金大中事件)。
[「金大中事件」を英会話のトピックとして]
80年、学生と市民による民主化運動が弾圧された光州事件で首謀者として逮捕、内乱陰謀罪などで死刑を宣告された。
《「光州事件の経緯」について英語にて解説》
後に無期懲役に減刑され、82年に刑執行停止で釈放された。
87年6月、当時の全斗煥政権が民主化を求める反政府デモに敗北、大統領直接選挙制の導入や政治犯の恩赦などを柱とした民主化宣言が発表された。
7月に金氏は公民権を回復、12月、大統領選に出馬したが、盧泰愚氏に敗れた。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
92年、3度目の大統領選で金泳三氏に敗れ、政界引退を宣言するが、95年に政界に復帰した。
97年12月、「四回目の正直」で大統領に当選した。
冷戦の終結や韓国内に定着し始めた民主主義が金氏の当選を後押しした。
<英会話/ディスカッション:金氏当選の背景>
大統領就任後、対北朝鮮政策を「祖国統一」から「まず平和共存」へと転換し、太陽政策を推し進めた。
周辺の米日中ロの4大国に太陽政策への理解を求めて支持を取り付けた上で、北朝鮮に粘り強く働きかけ、ついに分断後初の南北首脳会談が実現した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
金大統領はこれまで国内では必ずしも高い評価ばかりではなかったが、今回の受賞は政権の求心力を高めることになるだろう。
韓国では国内経済の悪化を憂慮する声が高まっている。
《「韓国経済の悪化」に関して英語論説》
金大統領にとっては、任期の残り2年余りが勝負どころとなる。
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