10日、モロッコのマラケシュで開かれていた気候変動枠組み条約第7回締約国会議(COP7)は、地球温暖化防止のための京都議定書の運用ルールを定めた法的文書を採択し、閉幕した。
議定書の運用ルールがようやく最終合意に達したことで、各国は批准に向けて動き出すことになった。
《「今後の温暖化対策のスケジュール」について英語にて解説》
議定書の発効には90年時点の二酸化炭素総排出量の55%以上に相当する先進国の批准が必要だ。
今春、最大の排出国である米国が抜けたため、先進国のほとんどが批准しなければ議定書は発効しない。
欧州連合(EU)は来年6月までに批准の手続きを終えることを決めているが、日本、ロシア、カナダ、オーストラリアは態度を明確にしていない。
[「態度未定の日本」を英会話のトピックとして]
議定書はこれまで大量の温室効果ガスを排出してきた先進国に削減目標を定めている。
08年から12年までの「第一約束期間」に90年比で欧州8%、米国7%、日本6%の削減義務を課した。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
米国はこの目標設定が自国経済に悪影響を与えること、中国など途上国に削減義務が課されていないことなどから、今年の3月に議定書からの離脱を表明した。
《「米国の議定書離脱の理由」に関して英会話/ディスカッション》
これによって、温暖化対策の実効性は不透明となった。
議定書が削減義務を課しているのは先進国だけだが、途上国の排出量は10年後に先進国を追い越すという。
<英語記事:途上国の排出量の推移>
しかし、途上国は米国の議定書への不参加を理由に、削減の義務化を拒む姿勢を崩しておらず、現時点では途上国を排出削減に参加させる見通しは立っていない。
こうした問題はあっても、地球の温暖化防止に向けて先進国が一歩を踏み出すには、米国抜きでも議定書を発効させ、排出削減を推進することだ。
[「米国抜きの議定書発効」を英会話/ディベートのテーマとして]
そのために日本政府は批准の意思を直ちに表明し、来年の通常国会で批准手続きを進める必要がある。
産業界には議定書の批准に反対する声もある。
議定書が定める90年比6%の削減目標は、元々省エネ大国の日本には厳しい目標だ。
批准のためには、排出削減の国内対策が急務となるが、産業界はそれに伴う新たな負担増を警戒している。
《「産業界の反発」について英会話》
そのせいか、欧米で間もなく動き出す「排出量取引制度」など、議定書に沿う形での制度作りは進んでいない。
欧州諸国は排出量取引制度を先行して導入する。
英国は来年4月に排出量取引市場を発足、EU15カ国は05年から域内の排出量取引を開始する。
[「排出量取引制度導入に向けての動き」を英語論説のテーマとして]
日本政府は米国の議定書復帰への説得をなお継続する方針だ。
しかし、現時点では対米説得の決め手となるアイディアは乏しい。
《「決め手となる」について英語表現の工夫》
自民党内には「場合によっては、米国抜きの議定書発効もやむをえない」との声も強まっているという。
議定書は12年までの義務を定めているだけで、その後の枠組みは未定だ。来年10月の地球温暖化防止会議で「ポスト京都議定書」交渉が始動する。
そこでは途上国の参加も視野に入れた新たな枠組みが議論される見込みだ。
<英会話/ディスカッション:ポスト京都交渉の行方>
|