29日、イラク北部ティクリートの幹線道路を四輪駆動車で移動中の日本人外交官2人とイラク人運転手が襲撃され、殺害された。
3月のイラク戦争開戦以来、初めて日本人に死者が出た。
<英会話:イラク開戦後、初の日本人犠牲者>
政府は「テロの可能性が強い」との見方を示している。
イラク復興支援の最前線で活動していた日本人外交官の殺害事件は、イラク特措法が政府に義務づけた「要員の安全確保への配慮」が極めて困難なイラクの現状を改めて見せつけた。
《「イラク最前線の危険」に関して英語にて解説》
政府は自衛隊派遣のための基本計画の閣議決定を12月中旬までに行う方針を変えていないが、派遣時期の判断は一層厳しさを増すことになった。
[「事件の時期判断への影響」を英会話/ディスカッションのテーマとして]
今回の事件を受け、政府・与党内では、陸上自衛隊の早期派遣には慎重意見が強まっており、代わりに航空自衛隊の輸送機を先行派遣する案が浮上している。
政府は、文民要員の派遣もイラク支援の柱と位置づけている。
しかし、文民の安全の保証は大使館員の安全が基準とされていたことから、今回の事件は文民派遣にも大きな影響を与えるとみられる。
〔英会話用の口語文体で言い換え〕
今回の事件と国際テロ組織アルカイダとの関係は不明だが、10月にカタールの衛星放送が伝えたアルカイダの指導者ビンラディン氏を名乗る声明では、すでにイラクに派兵しているスペイン、イタリアなどと並んで、日本もテロの標的として名指しされた。
《「日本を名指ししたテロ標的声明」について英会話》
日本を「イスラムの敵」とみなす考え方がイラク国内のイスラム武装組織にも広まっている可能性がある。
7月のイラク特措法成立以降、政府の自衛隊派遣計画は大きく揺れてきた。
当初は10月にも派遣を想定していたが、8月にバクダッドの国連事務所で爆弾テロが起きると、派遣を年明け以降に先送りすることになった。
<英語記事:国連事務所での爆弾テロ>
しかし、米国の要請が強まると、再び「年内派遣」が浮上し、基本計画案をまとめ、今月14日の閣議決定を目指した。
しかし、12日に自衛隊派遣予定地に近い南部ナーシリヤでイタリア警察軍に対する自爆テロによって多数の死者が出ると、「年内派遣」は再び宙に浮くことになった。
《「二転三転した時期判断」に関して英語論説》
18日にはバグダッドの日本大使館付近で発砲事件があった。
米軍は今月に入り武装勢力掃討作戦を強化、米軍駐留部隊のサンチェス司令官は29日、「この2週間で武装勢力の攻撃は30%以上減った」と成果を強調していた。
しかし米軍の攻勢を受けて、武装勢力の攻撃対象は、同盟国の外交官や民間人といった「ソフトターゲット」に向かっている。
《「武装勢力の標的の拡大」について英会話/ディスカッション》
29日、バグダッド南方でスペインの情報機関職員が乗った車列が襲撃され、7人が死亡した。
<英語記事:スペイン情報員襲撃>
30日には、日本の外交官が殺害された同じ幹線道路で韓国人が乗った車が銃撃され、2人が死亡した。
小泉首相は30日、自衛隊や文民のイラク派遣の方針は変えないと強調した。
「対米貢献」と「安全」の狭間で迷走を続けてきた首相は、自衛隊派遣をめぐってどう決断を下すのだろうか。
[「首相の派遣方針堅持」を英会話/ディベートのテーマとして]
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